欲は基本的には肯定するべきものだと思います。
欲は人間が生きていく上で必要不可欠なものだからです。
欲にとらわれていくと身を亡ぼすもとにもなります。
でも、とらわれなければ、欲に問題はないと思います。
自殺したくなるほどつらい時期であっても、欲が強く働いてがむしゃらに生きた場合は、自殺の誘惑に打ち勝つことができます。
欲は生きる意欲とも密接に結びついていると思います。
問題は、その欲にとらわれるかどうかですが、この問題を取り扱う際に、微妙な違いについて見極めておくことが必要です。その違いとは、
自分から出た欲なのか、
他人の欲が乗っかってきた欲なのか、
の違いです。
この違いを感じ取り確認する必要があるのです。
自分から出た欲であれば、必要なものです。その欲を否定して抑圧しなければ、欲は自分を生かし成長させる方向へ活用することができます。
しかし、他人の欲が乗っかってきている場合は、その欲が自分を滅ぼす方向に作用することがよくあります。必要以上に欲に捉われて、欲に振り回されて、自分を損なう恐れがあるのです。
例えば酒に飲まれている場合は、酒を飲みたい欲を持った他人のエネルギーが自分に入り込んで、そのエネルギーに操られて飲み込まれている場合があります。酒場などで、そういうエネルギーを吸い込んでしまうと、酒に飲まれて酒の上の失敗を経験します。
その違いは何でしょうか。
欲を認めて、欲を見つめていると違いが見えてくるはずです。
そしておかしいなと思ったら、他人の欲に呑み込まれているのではないかと疑うのです。酒のケースでいえば、酒を欲している他人のエネルギーに憑依されて操られているのではないかと、点検するのです。
自分から発した欲を適正な限度にとどめようと格闘しているのか、
それとも他人の欲に振り回されてもがいているのか、
それは大きな違いです。
他人の欲を自分のものだと勘違いしてしまうと、コントロールできなくなります。自分の欲と他人の欲の間に境界線を引くことで初めて、他人の影響を退けることができます。
だから、まず微妙な欲の違いに気づくことが決定的に大事なのです。
自分の欲の中にも、微妙な違いがあります。
それは本当の自己に近い欲なのか、肉体に近い欲なのかという違いです。
本当の自己の欲といっても分かりにくいのですが、魂の欲求とか個性自体の欲求という言葉で、少し感じがつかめるかもしれません。より向上し成長したい、もっと人として成熟していきたい。そういう欲はそれに当たると思います。
また、肉体が本来の働きを健全に発揮できるようになるために出てくる欲も、大切です。運動が少ない人は、動きたいという欲求が強く出てきます。惰性でじっとしていたいという欲と、身体を動かしたい欲が戦うことがありますが、後者の欲をないがしろにすると、その反作用として筋力が低下し体が弱ります。
欲は大切なものです。欲を認めたうえで、微妙な違いを知って対処すれば、自分らしく生き生きとした人生が送れます。
欲の微妙な違いに常に注意し、欲を尊重しつつも欲にとらわれない生き方が、幸せな人生につながると思います。
心理カウンセラー 種村修
※メールや電話でのカウンセリングを行っています。
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