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命の炎を燃やせ②-心を浄化する(2)



(前回から続く)

3.影の統合

私達は誰でも、「自分はこういうひとだ」という自己概念や、社会的な立場から「私はこういう人間だ」というペルソナ(仮面)と言われるものを持っています。それに合致しない思いは、否定して、なかったことにしてしまおうと無意識的に拒否したり、自分でも受け入れられるような解釈に歪曲してしまいます。

例えば、人を呪詛して呪い殺したいという思いが湧くことがあると、そんな恐ろしい自分を認めたくないので、それは私ではないと意識が否定するのが普通です。でも、殺したいほど人を憎んだことがないかと言われれば、そういえばあの時にそういう思いを出した自分があったと、気が付く場合があります。この場合、人を呪詛する心があるわけです。そういう自分があるということを認めるのが「潔く自分を受け入れる」ということです。これが自分だと認めることができると、それをコントロールしたり、どうしてそう思ったのかという原因を考え、修正し、そういう思いをコントロールすることはできます。

その時に、大切なことは、そういう嫌な自分を発見したら、それによって自分を責めたり、裁いたりしないということです。それは自分がそこから何かを学ぶ為に経験したことであり、そこで学んだ教訓を生かして、過ちを犯さない自分に変わればいいのです。決して裁かない心を持って、そうせざるを得なかった自分自身を受け入れるのです。その時には苦しみや悲しみや、そうせざるを得なかった事情があるはずです。それを受け入れ、丁寧にその時に起きた自分の感情や思考を辿っていくのです。そして、ここから出発しようと自分自身を受け入れるのです。

受け入れるとは肯定や正当化ではありません。自分を振り返り、「そこから何を学んだのですか」と自分に問いかけて、同じ状況が出ても、二度と同じことをしない自分になれるように思考や傾向性を修正するのです。

これを「自分に向き合う」とか「対決」と言います。特に自分自身に特徴的なマイナスの思いは「影」と呼ばれ、心を浄化していくプロセスでは影との対決は避けては通れません。その際に一番難しいのは、その影は自分自身であることを認めて受け入れることなのです。その時に、影は自分にとって必要なエネルギーとして、自分を害さない何かに変化します。これを統合の作業というのですが、影は自分の意識に統合されると、個性を支えるエネルギーとして働くようになります。

 
4.私の体験

以上が自己浄化のプロセスですが、私たちは自分の過去の人生の中で、さまざまに抑圧して封印している思いや行いがあります。

私にはこんな嫌な思い出があります。小学2、3年生ごろだったと思うのですが、学年が一年上の隣の男の子と一緒に、野良犬が産んだ赤ちゃんの犬をかわいがっていました。本当は飼いたいと思ったのですが、親には絶対にダメだと言われていました。その日は水田の水が表面が凍るほど寒い日でした。私とその友人は、子犬を持て余しました。どこまでもついてきて離れようとしないからです。困ってしまって、氷の張っている水田に子犬を投げ込みました。するとその子犬は悲しそうに鳴きながら私たちのいる土手に戻ってくるのです。パニックになって、その子犬を何度も何度も水田に投げ込んで、結局寒さと疲労と、投げつけられた衝撃でぐったり来て、死んでしまいました。私たちは、さらにパニックになり、その子犬を近所の家の片隅に横たえて逃げました。途中で、その家の人に呼び止められたのですが、しらを切って逃げました。

私はこの体験をずっと封印してきました。しかし、何度も何度も思い出されるのです。そこで私は潔く受け入れることにしました。そして告白しました。

「私は冷血漢で、自分本位で、動物虐待するような心が確かにありました。自分が飼えないのになついてくる子犬を持て余して、殺してしまうような残酷で自分本位の心がありました。それをすごく後悔しています。」そう告白できました。

その時に、私はやっと自分がこの記憶から解放されたことを知りました。子犬が生き返って、しっぽを振りながら嬉しそうに私にじゃれてくるのをイメージできるようになりました。それと同時に私は気が付きました。「虐待そのものは、もうその後していないかもしれない。しかし、自分の都合で家内を無視して仕事ばかりして孤独な思いをさせたりして、自分本位の冷血漢な自分があった」と気が付いたのです。そして同じことをしないように、戒めるようになりました。

こうした作業を、一つ一つしていったときに、私たちの心は浄化され、軽く清らかとなり、本当の自己ともつながりが回復できるようになります。そして自分自身を受け入れ、愛することができるようになるのです。(種村)

<連絡先>
種村トランスパーソナル研究所
所長兼心理カウンセラー 種村修
電話090-8051-8198
メールアドレス:tanemura1956@gmail.com

 

コメント

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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
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もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
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境界性パーソナリティ障害5…特徴(2)対人関係の不安定さ

①理想化とこき下ろし

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「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


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このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


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そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


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このタイプの人を理解する鍵は、「アンビバレント(両価的)」な感情にあります。