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7月, 2015の投稿を表示しています

境界性パーソナリティ障害18・・・その原因

1.愛着障害


 境界性パーソナリティ障害は現在急増しているのですが、その原因は環境要因、特に育った家庭環境によるところが最も多く、次いで子供の頃のいじめなど傷ついた経験が影を落としています。それに比べると遺伝的要因はやや小さいと思われますが、無視はできないといわれています。結局、「境界性パーソナリティ障害になりやすい傾向を持った人が、不利な環境に置かれた時に、発症しやすくなる」と考えられています。


境界性パーソナリティ障害の人の親も境界性パーソナリティ障害であるというケースは少なくありません。この障害は世代間伝達しやすいのです。


 環境要因では家庭環境が一番重要ですが、まず考えられるのは、乳幼児期に母親と安定した関係が築けなかったことです。母親と子どもとの情緒的な信頼のきずなを心理学では「愛着」といいますが、愛着関係が損なわれると、基本的信頼感や基本的安心感が持てず、情緒が不安定なパーソナリティにやすいことが知られています。


ごく幼い時に育児放棄されネグレクトを経験すると、子供は周囲に無関心で誰にもなつかず愛着を示さないタイプの愛着障害を示します。

しかし、もう少し年齢が上がってから母親の愛情を喪失した子供は、しばしば誰かれかまわず懐(なつ)くというタイプの愛着障害を示すようになります。この時、なつく対象となる人がいなくなると、割にあっさりと切り替えて、すぐにまた別のかまってくれる人になつきます。このパターンを繰り返す傾向が見られます。


これは境界性パーソナリティ障害の人かよく示す愛着のパターンと、非常によく似ています。それは、「振り向いてくれる人」には、ほとんど見境なく、しがみついていこうとする。しかし、その人がいなくなれば、またすぐ別に、「依存する相手」を探すというものです。


境界性パーソナリティ障害の人は、深刻な愛情飢餓感を抱いていますが、その根っこには愛着障害があると言われています。幼少期に親に愛されなかったという愛情飢餓感や、見捨てられ不安の経験が心の傷として長く残っていて、それが癒されないのです。



2.母子分離にまつわる障害


 境界性パーソナリティ障害の人は、一つの共通した生育上の経験を持っていると言われています。それは「母親のひざ元から最初の自立を成し遂げていく時期」(1歳~3歳)に、「愛情や関心が適切に与えられず」、親から分離し自立してゆく過程を「うまく卒業できなか…

境界性パーソナリティ障害17・・・3つの基本的障害

1.基本障害と背景にある問題


境界性パーソナリティ障害は、さまざまな心理療法家によって研究されてきています。その研究の結果明らかになったいくつかの特徴的な傾向をご紹介しておきたいと思います。これは自分や家族が境界性パーソナリティ障害ではないかと気になる方や、もっと境界性パーソナリティ障害を理解したい方の参考になると思います。


境界性パーソナリティ障害の方は、基本的な3つの障害を抱えています。


①心の統合機能や自我が脆弱である。


②情動のコントロールがきかない。


③二分法的(白か黒か)で自己否定的な認知をする。



そうした障害を生む背景には、二つの大きな問題が潜んでいます。それは次のような問題です。


①見捨てられ体験に基づく愛情飢餓や親との葛藤を経験している。


②傷ついた不安定な自己愛をもっている。



今回と次回の両方に分けて、これらのポイントをご紹介したいと思います。