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心の可能性②


自分を知るということ

 「顕在意識と潜在意識①」で述べたような心の構造を認めると、自分を知るという作業には、実は段階があることが分かります。知るという働きは、顕在意識で把握するということです。顕在意識が自分が考えていることを自覚するのも自分を知るですが、これは最も最初の段階です。

もっと深くなると、個人的潜在意識の想いをキャッチする意味での「自分を知る」があります。内臓や関節のある部位が痛むときに、その部位を司っている個人的潜在意識に焦点を合わせていくと、そこがどうして痛んでいるのかが分かることがあります。心や生活の不調和がどこかにあり、それに関わる身体の部位が痛むことで、不調和の解消を訴えかけてきているのです。

その体の訴えに耳を傾け、身体からのメッセージを補足するだけで症状が軽減することがあります。この場合、肉体の症状は体の声(実は個人的潜在意識の訴え)だったのです。その意味内容を聴いて改善してもらえれば、症状は役割を果たして不要になります。その結果、症状が消えるのです。

個人的潜在意識には抑圧とかコンプレックス(複合体)と呼ばれているものがあります。顕在意識が意識することを拒否している想いが集積して、いくつもの複合体を作っています。これは意識が抑圧して意識化できないようにした思いなので抑圧と呼ぶのです。広い意味でのコンプレックスがそれに含まれます。

個人的潜在意識との対話では、しばしば抑圧された想いが伝わってきます。通常それはネガティブなエネルギーとして伝わってきますが、心の病んだ部分のメッセージと考えてもいいと思います。自分が本当は何を悩んでいるのか、それが見えてきます。

また人によっては、個人的潜在意識の断片が、さまざまな断片化し、それぞれ人格を伴ったイメージとして湧いてくることがあります。子供だったり、包帯を巻いた姿の大人だったり、いろいろします。しかもそれぞれが自己主張を持っています。それに耳を傾けて深く理解することで、成長したり明るくなったりもします。心は実に不思議です。

男性には女性意識が、女性には男性意識が、一つの複合体として存在します。それはユングがアニマ、アニムスと呼んだものです。自分の夢に出てくる異性が、通常そうである可能性が高いのですが、その内なる異性とコンタクトをすることが、潜在意識との同通に大きな役割を果たします。深層潜在意識への導きとなることも少なくないようです。

さらに深層潜在意識は過去世の記憶や、過去世の個性を持ったエネルギーで構成されています。そことの対話は、一段高いスピリチュアルな視点からの判断や意見が聞けますし、自分の人生計画全体から見た判断が伝わってきます。これもいくつもの個性が存在しているので、どの個性に焦点を当てるかで、メッセージの色合いが多少変化します。男性意識もあれば女性意識もあります。本当に不思議です。

過去世にできたと思われるトラウマつまり深い心の傷も、深層潜在意識との対話では重要です。個人的潜在意識の抑圧と同様に、そことの対話は「対決」と呼ばれていますが、ネガティブな自分と向き合い、それを乗り越えることになります。どのような傷つく体験をしたのかを思いだし、心で味わうことで、次第に洞察が生まれてきます。今世の自分の人生にもその心の傷が関連しているので、洞察が進むと、パーソナリティがより良い方向へと変化してゆきます。

さらに超越潜在意識との対話では、自己(セルフ)と呼ばれる部分に焦点をあてて対話しますが、これとの対話では普遍的な視点から見た自己の使命や心の成長の課題について、相当適確な判断を示してくれます。半ば個人の観点をはなれた普遍的な視点での意見が加わってくるのが特徴的です。ここは不動心を強く感じます。

超越潜在意識は私たちの心に深くかかわっています。丹田にある意識が自分そのものの中心となる意識であり、ここに超越潜在意識がつながっていると考えられています。その活性化には呼吸法が有効で、丹田呼吸は不可欠だと思います。

このように、心の対話にもどの層の潜在意識と対話するかで、内容が大きく異なってきます。それらを重層的、多角的に知ることで、本当の意味での自分を知ることができると思います。

とはいっても、それも自分の心の一部の断面をとらえたにすぎません。心は広大であり、どこまで行っても探求しつくせない神秘が宿っていると思います。(種村)

<連絡先>

種村トランスパーソナル研究所(所長兼心理カウンセラー 種村修)
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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

境界性パーソナリティ障害を持つ人は感情がとても不安定です。

たとえば、片時も離れたくないほどの恋人だったはずなのに、突然鬼のような怖い顔になり怒りまくる。たんなるお友達のはずなのに、夜中まで突き合せておきながら、翌日はがらっと態度が変わり激しく罵倒する、などなど・・・。

こうした極端に不安定な気持ちや言動の元にあるのは「相手に見捨てられるかもしれない」という不安です。しかも、その「不安」は、本人が思いこんでいるだけで、相手にしてみれば全く心当たりがない場合がほとんどです。そのため何を怒っているのか、見当がつきません。

境界性パーソナリティ障害の人は、大変深刻な「見捨てられ不安」をもっているのです。そのために、ささいな…

境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

①感情がコントロールできない

境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

②怒りの奥にある生き残り戦略…

境界性パーソナリティ障害2…主な特徴と種類

①極端な気分、感情のブレが特徴

境界性パーソナリティ障害を抱えた子どもやパートナーと一緒に生活すると、次のような経験をすることがあります。
・何のことはないごく些細な言葉で、さっきまで楽しくしていたのが、急に怒りだして手がつけられなくなる。
・少し言い過ぎた言葉、その一言でむきになり、家を飛び出してしまう。時には自殺企図へと走ったりする。
・一言注意されると、もう怒りが爆発して、手が付けられないほど暴れまる。
・冗談で言った言葉にすら、深く傷つき思いつめてふさぎ込む。
・何気ない動作が、愛情の希薄さだと責められて、唖然としてショックを受ける。
子どもやパートナーがこうした反応を繰り返すと、家族はしだいに腫れ物に触るように、顔色を常に窺いながら、機嫌を損ねるのを恐れながら暮らすようになっていきがちです。薄氷を踏むような危うさ――。家族は言いたいことを言えず、常に自分を抑えて暮らします。
こうして家族はその人に支配されているような状態に陥り、息苦しさを感じます。もちろん、ご本人にはそうした意図はありません。ご本人はどうしようもない感情・気分のブレに苦しんでいるのですが、結果的には周囲を支配しているのと変わらない状況が生まれがちです。

境界性パーソナリティ障害は、感情や気分、行動の変化があまりにも激しいという特徴があります。しかも変動の幅が大きすぎ、まったく正反対の方向へぶれたりします。
飛行機の操縦かんを動かし過ぎると、機体は激しく振動し、上下にもブレを繰り返すといいますが、同じことが心の操縦かんで起きているのです。
アメリカで作成された「DSM―Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引き」を見ると、境界性パーソナリティ障害の診断基準として次のような項目があります。

「顕著な気分反応性による感情不安定性」・・・(例)通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い深い気分、いらだたしさ、または不安。
「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難」・・・(例)しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す。