スキップしてメイン コンテンツに移動

心の成長へ④・・・うつ状態での生活改善のポイント


(前回から続く)

3.生活の構造化

 うつ状態で苦しい時に、生活を変える第一歩は、生活の「構造化」に取り組むことです。「構造化」とは、何時ごろに何をするかを決めて、一日の生活サイクルをきめ、それを実行することです。生活の「枠組み」をきめることです。

 その際に、過去、人生の辛い時期をどういう生活習慣によって乗り越えたかを回想することは、役に立つと思います。

私の場合は、家庭環境の影響もあり、毎朝、神棚や仏壇に手を合わせて祈ったり、拝んだりすると、一日のリズムが整いやすいようです。また、丹田呼吸法をすると、心が安定し、身体のリズムが整うので、常におこなっています。これらをまず一日の始めに行うときに、生活がうまく回転し始めることが多いので、この二つは推薦できると思います。

生活の構造化への取り組みでは、最初は無理をしない方がよく、できるところから少しずつやっていくのがベターです。

その際に、身体を動かす方法を取り入れることは大切です。外に出て歩いたり買い物をしたり、神社めぐりや自然の観察をしたり、そうした時間を一日の中に取り入れるのはお勧めします。

よどんだ水が腐るように、家でじっとひきこもると心が腐っていくような気分になりがちです。体を動かすということは、とても大切です。よどみを感じたら、まず動くのです。すると、流れている水が腐らなくなるのと同じで、心のエネルギーきれいに流れ出すのです

運動への配慮は心身一如の東洋医学の発想から見ても、非常に意味があります。テレビ体操や散歩などは、血流をよくしますし、筋力の増大につながります。血流がよくなれば、脳の働きもよくなります。また筋力の増大は気力を増すので、うつ対策には不可欠です。もし筋トレに行けるようなら、筋トレでポジティブ思考に転換しやすくなることを実感されると思います。

 うつ病が回復し、なんとか仕事ができそうであれば、無理しない範囲で何かの仕事をすると、生活のリズムができるのでよいと思います。その際は、どんな仕事でも、負担にならないものであれば行った方がよいでしょう。自宅での家事の役割分担だけでもよいと思います。

一定の時間に決まったことをするのは、とても重要なことです。それによって生活にメリハリができます。そして心が安定してゆきます。生活の構造化が重要なのは、決まった時間に決まったことをすると、それが心の安定をもたらすからです。

4.丹田呼吸法

 うつ状態の時、呼吸を振り返ってほしいのですが、浅い呼吸しかできていないと思います。そこで呼吸法を変えることで、うつ状態を改善するという手法があるのです。

白隠禅師が禪病と呼ばれるノイローゼ状態になり心身ともに苦しんだ時、丹田呼吸法を学んでそれを実践することで乗り越えていますが、これは非常に優れた方法です。

 丹田呼吸法では、吐く息を長くすることで、リラックスする効果が生まれます。吸う息が長くなると興奮するのに対して、吐く息を長くすると心とからだが沈静化するのです。

丹田呼吸では、おへその下から10センチ下の体の中心(丹田)を意識します。丹田を意識する呼吸をすると、吐くときに下腹部が引き締まってきます。それが内臓を押し上げ、内臓内の静脈に溜まった血液を心臓に送りだします。また同時に横隔膜が上に上がるので、肺の空気を押し出します。こうして大量の血液循環と空気の循環をもたらすのです。体内の血流がよくなるとともに、新鮮な酸素を含んだ血液が体内を循環するので、新陳代謝を高めます。免疫力も高まり、健康に非常によいのです。

さらに呼吸に伴うリズム運動はセレトニンを増加させることが知られています。セロトニンは感情を穏やかにする作用をもつ神経物質です。うつ病になるとセロトニンが減少するので、セレトニンの増大は、うつ病対策で欠かせません。

セロトニンを増やすには、丹田呼吸法のほかにも、戸外に出て太陽光を浴びること(曇りの日でも効果があります)と、よくかむというリズム運動や、歩くリズム運動が有効です。いずれも生活の改善に関わることであり、それが心を変えていくのです。

5.筋力アップで気分の落ち込みを防ぐ

 私がひどいうつ症状で、心身ともに衰弱していたころ、新しい職場に通いだして非常につらい思いをしました。肉体的にも精神的にもきつかったのです。私は交通事故で半年以上寝ていたあと、職場復帰して1年後にリストラに遭いました。入院中に落ちた筋力は、3年たってようやく元に戻りました。それまでの間は筋力がないので、気力が湧かず、踏ん張りがきかないという経験をしました。

 ようやく務め出した新しい職場でも、夕方になると疲れ果てており、悲観的自己否定的な思いが湧き上がりました。これを変えてくれたのは、筋トレでした。あまりにも体力がないので、試しにスポーツジムに通い、30分ほど筋トレをし始めたのです。トレーニングをはじめて30分経つと、不思議なことにあれほど重かった体が軽くなり、何よりも悲観的な気持ちが消えて、前向きにものを考え始めていました。筋力のアップが思考の変化にこれほど直結するのかと、びっくりしました。

 ですから、簡単な筋トレは、回復期のうつ病にはとても効果的であると思います。また気分が落ち込んでうつ状態になった時は、即効性が高いと思います。

 ほかにも、うつ状態の回復期には、散歩と歌を歌うことは効果があります。この方法で重度のうつ状態から回復した人に付き添った経験があります。
 
 これ以外にも食事を変えることで、うつ病を緩和する方法もあります。食生活も見なおして、研究されることを勧めします。


いずれにせよ、心の問題と思われているうつ病も、生活を活性化し行動を活性化することで脳によい影響が行き、それが心によい影響を与えるという、そうした循環を起こすことで回復できるのです。心身一如と東洋医学では言われていますが、身体面の活性化で心の活性化を図るのは、非常に理にかなっていると思います。

(参考文献)村木弘昌著『白隠の丹田呼吸法』、『万病を癒す丹田呼吸法』(春秋社)

<ご案内>
種村トランスパーソナル研究所ではカウンセリングを行っています。
対面のカウンセリング以外にも、電話カウンセリングやメールでのカウンセリングも受け付けています。遠慮なくご利用ください。ご連絡をお待ちしています。
電話09080518198
メールアドレスtanemura1956@gmail.com
カウンセリングルームは千葉県のJR常磐線・我孫子駅南口から徒歩10分の場所にございます。

コメント

このブログの人気の投稿

自己特別視と依存の心理

自分を特別視して肥大した自我を持つ人には、しばしば依存心が見られます。
プライドが高く自分は特別にすごい人間だと、内心思っているのに、世間で通用するような実績や成果が出ないで屈折する人がいます。 素質を持ちながらも、この人の心理の奥に依存心が潜んでいて、それがその人の努力と成長を妨げているのです。
よくあるケースとして、生育過程でその人が親や祖父母から特別扱いをされ、それゆえに自己特別視と依存の心理が育ってしまう場合です。
ある男性の家系では、3~4代前のご先祖の当主が自殺したそうです。それまで栄えていた家は、そこから暗転し、それ以降は、家系には男子が恵まれず、産まれても育たずに早死にし、女性によって細々と血筋が守られてきました。 その男性は、この家系にようやく生まれ育った待望の男児でありました。 ですから、祖父母やご両親の愛情と期待を一身に受けながら、特別な存在として大切に育てらたのです。 この男性にとっては、自分は特別な存在であるということは周囲から植えつけられた、空気のように当たり前の固定観念でした。そして非常に大事にされて育ったので、自分は特別な存在だから愛される、愛されて当然の存在だという気持ちも無意識に育っていたのです。それは依存心につながるものでした。
こうした特殊事情がなくても、普通に長男としてその家に生まれ、祖父母が特別長男をかわいがる場合、よく似た現象が見られることがあります。
長男として生まれた男児を、祖父母が特別愛情を注ぎ、何でも先回りして世話を焼き、母親も同じように手をかけて息子を育てた場合に、それが生じます。
本人は、自分は特別であるという自己特別視を持っており、自分の価値基準に反する学友を蔑視しがちです。無条件に大切にされてきたので、愛されるのが当たり前だという気持ちがあり、人の感情に対して無神経になります。その結果、積極的に自分から人に関わるコミュニケーション能力が育たず、孤独で孤立しています。
彼には親や祖父母への依存心が根っ子にあるので、無意識に誰かが何とかしてくれるという気持ちがあり、自立してゆくための気力や努力が乏しくなります。「自分は特別だから愛され大切にされて当然だ」という思い込みがあるので、感謝の薄い、傲慢な人間になりやすいのです。また努力が乏しく、人の世話になることに平気です。
こうして「自分は特別の人間だ」という思い込みが、「肥大した自我…