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怒りを離れる方法



1.怒りを自覚する

怒りというものは、自覚している時と、自分ではさほど自覚していない時の両方があります。
対処法で難しいのは、強い怒りを自覚していないが、本当は凄く激しい怒りを持っているという場合です。この場合、夜目が覚めるやいなや、そのことが思いだされてなかなか寝付けなかったり、日中も繰り返しそのことが思いだされて、心から離れません。
自分では、どうして繰り返し同じ思いが心に去来して消えないのかわからないのですが、実は強い怒りを持っていたという場合があるのです。

まず呼吸法が有効です。呼吸に意識を向けて、息をゆっくりと長く吐くことを心がけて、何度か呼吸をするのです。吐く息、吸う息に注意を向けるので、いったん怒りから離れることができます。また吐く息をゆっくりと長くすると、リラックスしてくるので、怒りによる心の波立ちが鎮まっていきます。
さらに下腹部にある丹田に意識を向け、腹筋を使いながら長く息を吐く呼吸をすると、よりいっそう深いリラックス状態に入ることができます。

この呼吸に意識を向ける方法によって、繰り返し出てくる怒りの思いから心が離れます。車の運転で言うと、マニュアル車(MT車)をニュートラルにした状態がこれに当たります。ところが強い怒りがある時は、ニュートラルにした後で、またネガティブな状態に戻ってしまうので、ひと工夫が必要です。

その際に有効なのが「慈悲の瞑想」と呼ばれている瞑想法を実践することです。
この瞑想は、ケニア出身の僧侶(仏教)でアメリカの大学で教鞭を取っていたバンテ・H・グラナタナ氏が実践し推奨しているものです。
グラナタナ氏の著書には、『マインドフルネス』という世界の心理療法に深い影響を与えている良書があります。これは丸ごと瞑想の手引書なのですが、悩みを抱えた方が読むと、即効性があり、非常に心が穏やかになると喜ばれています。

これからご紹介したい「慈悲の冥想」は、祈りに近い言葉ですが、それを暗記しておいて、休憩時間に呼吸を整えながら、心の中で唱えるだけでよいのです。すると効果がてきめんで、深い穏やかな心の状態になります。心が平安になってみると、自分がいかに怒りにとらわれていたかが自覚できます。そして怒りを離れて、心の自由を取り戻せるのです。

.「慈悲の瞑想」の勧め

「慈悲の瞑想」は次のような内容です。

慈悲の瞑想

私が、健康で、幸福で、安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の父母と家族が、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の先生たちが、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の親戚たちが、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の友人たちが、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の知らない人びとが、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

私の嫌いな人・私を嫌っている人々が、健康で幸福で安穏でありますように。危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。

生きとし生けるものが、健康で幸福で安穏でありますように。
危害がありませんように。
願い事が叶えられますように。
人生で避けることのできない困難や問題、失敗に出遭ったとき、
忍耐、勇気、理解、決意をもって乗り越えられますように。
道徳、誠実、赦し、憐れみ、気づき、智慧をもって克服できますように。
(バンテ・H・グナラタナ著『マインドフルネスを超えて』p115~p118から引用)

3.ワンポイント解説

以上です。長いのですが、繰り返し読んでいるうちに暗記してしまい、瞑想状態で唱えることができるようになります。

この「慈悲の瞑想」のポイントは、まず最初に自分のために祈るということです。自分のために祈り、自分にエネルギーをあげます。こうすることで人に対してエネルギーを与えることができるようになるのです。これはとても大事なことであり、決してエゴではありません。悩んでいる人のなかには、自分のために祈ることに抵抗がある人もいるのですが、自分が満たされてこそ人を満たすことができるということを受け入れてほしいと思います。

もう一つのポイントは、自分が嫌いな人・自分を嫌っている人への祈りがあることです。これを繰り返し心に思うことで、憎しみや怒り、嫌悪から離れることができます。許しの心が育ちます。それは嫌悪を乗りこえる慈悲の心です。そして穏やかな心が回復できるのです。

これは心のギアをニュートラルにした状態から、慈悲へと向けることで、怒りから離れてゆく方法です。
この瞑想を実践してゆくと、自分を愛する人に対しても、自分を嫌う人に対しても、自分に無関心な人に対しても、ひとしく慈悲(人の悲しみを共に悲しみ幸せを願う気持ち)の思いを持ち、幸福を願う心が育ってくるようです。

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