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怒りを吸い込まない



昔、ある人からこういう体験談を聞きました。

妻が仕事から帰ってくると、会社での上司への不満をくどくどと話し始めました。彼は適当に相づちをうちながら聞き流そうとしたのですが、あまりにもしつこく言うので、ついつい奥さんの怒りに同調してしまいました。怒りを吸いこんだのです。妻の激しい怒りの炎が彼の心に燃え移りました。すっかり憤慨した彼は、「その上司に電話して文句を言ってやる。番号を教えろ」と怒鳴りました。驚いた奥さんは、今まで自分が怒っていたことなどケロッと忘れたように、冷静に彼をなだめ始めたのです。さすがに彼はばかばかしくなってやめたといいます。でもすっかり疲れ果ててしまいました。

誰かの怒りを吸い込むと、こういう現象が起きます。家庭の中で怒りが広がる時、家族の誰かのイライラが伝染する時は、往々にして家族の怒りを他の人が吸いこんでいます。

怒っている当の本人は、誰かに話すとその怒りのエネルギーが収まってきます。周りに怒りをたきつけられたら別ですが、通常は吐き出すと心の中に膨らんだ負のエネルギーは小さくなります。その代わり、その怒りを誰かが吸い込むと、その人の中で膨れ上がります。まるで怒りがある人から別の人に乗り移ったようになるのです。類焼です。

これは聴き方に問題があるのです。相手の怒りを鎮めるには、相手が怒っている気持ちを受け入れてあげて、その事情を聴いて共感的に理解する必要があります。
しかし、相手の感情はあくまで相手の感情であり、相手の問題の所有者はあくまで相手本人なのです。聴き手の問題ではありません。ですから、聴き手が自分の問題にしてしまってはいけないのです。聴き手がそれを自分の問題にしてしまった時点で、類焼が生じています。

聴き方で大切なのは、相手がこの問題を解決する力があると信じて聴くことです。相手が解決能力があるのですから、聴き手が出しゃばって解決しようとしたり、行動を指示してはいけません。あくまでも相手の気持ちを受け入れて、共感的に理解するにとどめるのです。
そうすると、相手は気持ちが収まるだけではなく、どうしたらいいかを思いついたりします。自分が思いついた方法で問題が解決すると、相手は自尊心がたかまり自信を持つでしょう。これが傾聴です。

雷が落ちても、避雷針がある家は、雷のエネルギーは避雷針を通って地面へと流れて行きます。すると家は燃えません。もし避雷針がないと、雷が落ちた家は燃えてしまいます。怒りを吸い込まないとは、避雷針のある家のようになることです。

<ご案内>
種村トランスパーソナル研究所では、直接お会いする対面カウンセリングとともに、電話カウンセリングやメールによるカウンセリングも行っています。
相談してみたいと思われるかたは、遠慮なくご連絡ください。
090-8051-8198 (メール)tanemura1956@gmail.comカウンセリングルームは、JR常磐線・我孫子駅(千葉県)南口から徒歩10分にございます。


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ある男性の家系では、3~4代前のご先祖の当主が自殺したそうです。それまで栄えていた家は、そこから暗転し、それ以降は、家系には男子が恵まれず、産まれても育たずに早死にし、女性によって細々と血筋が守られてきました。 その男性は、この家系にようやく生まれ育った待望の男児でありました。 ですから、祖父母やご両親の愛情と期待を一身に受けながら、特別な存在として大切に育てらたのです。 この男性にとっては、自分は特別な存在であるということは周囲から植えつけられた、空気のように当たり前の固定観念でした。そして非常に大事にされて育ったので、自分は特別な存在だから愛される、愛されて当然の存在だという気持ちも無意識に育っていたのです。それは依存心につながるものでした。
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彼には親や祖父母への依存心が根っ子にあるので、無意識に誰かが何とかしてくれるという気持ちがあり、自立してゆくための気力や努力が乏しくなります。「自分は特別だから愛され大切にされて当然だ」という思い込みがあるので、感謝の薄い、傲慢な人間になりやすいのです。また努力が乏しく、人の世話になることに平気です。
こうして「自分は特別の人間だ」という思い込みが、「肥大した自我…