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10月, 2015の投稿を表示しています

心の成長へ④・・・うつ状態での生活改善のポイント

(前回から続く)
3.生活の構造化
 うつ状態で苦しい時に、生活を変える第一歩は、生活の「構造化」に取り組むことです。「構造化」とは、何時ごろに何をするかを決めて、一日の生活サイクルをきめ、それを実行することです。生活の「枠組み」をきめることです。
 その際に、過去、人生の辛い時期をどういう生活習慣によって乗り越えたかを回想することは、役に立つと思います。
私の場合は、家庭環境の影響もあり、毎朝、神棚や仏壇に手を合わせて祈ったり、拝んだりすると、一日のリズムが整いやすいようです。また、丹田呼吸法をすると、心が安定し、身体のリズムが整うので、常におこなっています。これらをまず一日の始めに行うときに、生活がうまく回転し始めることが多いので、この二つは推薦できると思います。

生活の構造化への取り組みでは、最初は無理をしない方がよく、できるところから少しずつやっていくのがベターです。
その際に、身体を動かす方法を取り入れることは大切です。外に出て歩いたり買い物をしたり、神社めぐりや自然の観察をしたり、そうした時間を一日の中に取り入れるのはお勧めします。
よどんだ水が腐るように、家でじっとひきこもると心が腐っていくような気分になりがちです。体を動かすということは、とても大切です。よどみを感じたら、まず動くのです。すると、流れている水が腐らなくなるのと同じで、心のエネルギーきれいに流れ出すのです。
運動への配慮は心身一如の東洋医学の発想から見ても、非常に意味があります。テレビ体操や散歩などは、血流をよくしますし、筋力の増大につながります。血流がよくなれば、脳の働きもよくなります。また筋力の増大は気力を増すので、うつ対策には不可欠です。もし筋トレに行けるようなら、筋トレでポジティブ思考に転換しやすくなることを実感されると思います。

 うつ病が回復し、なんとか仕事ができそうであれば、無理しない範囲で何かの仕事をすると、生活のリズムができるのでよいと思います。その際は、どんな仕事でも、負担にならないものであれば行った方がよいでしょう。自宅での家事の役割分担だけでもよいと思います。
一定の時間に決まったことをするのは、とても重要なことです。それによって生活にメリハリができます。そして心が安定してゆきます。生活の構造化が重要なのは、決まった時間に決まったことをすると、それが心の安定をもたらすからです。

心の成長へ③・・・うつの時は生活改善をはかる

1.うつ状態
逆境に対処するときに、うつ対策は最も重要な要素になります。
うつ症状の中心は、とめどもなく湧き起こる自己否定の観念です。自分を否定し、否定し、生きるに値しない存在であり、罪深くのろわれた存在であり、敗北者であり、死ぬべき人間であるように感じます。
しかも、先が見えないぬかるみの中を歩くように、心の重荷を背負う苦悩の人生が永遠に続くような時間の感覚があります。
さらに、どうしようもなく貧困になり(貧困妄想)、自分が人を傷つけたり犯した罪にさいなまれるように感じたり(罪業妄想)、病気で死ぬしかないと思えたり(心気妄想)、愛のない孤独な寒々とした人生の終焉を妄想しては悲観し苦しみ、やがて絶望します。
身体症状も苦しみの理由です。体は重く、夜は眠れず、食べものの味は味気なく、頭痛も激しく、脳の働きが極端に低下します。そして死にたいという願望とのたたかいにエネルギーを使い果たすように感じます。身体感覚の苦しみと、心の苦しみは同時に進行します。
気力が起きず、横たわっているしかないように感じることもあります。動けないのか、動かないのか、それも分からない状態です。無為の時間が通り過ぎ、自分の価値がさらに損なわれていくように思えます。未来に希望はなく、無理に希望を描こうとしてもできません。今の不幸が終わる時が来るということを想像することができないで苦しんでいます。
 私が人生の底で経験したうつ状態を回想すると、以上のような記述になると思います。最も重い症状が出ていた時期は、「死」への誘惑と常に戦っていました。その状態を潜り抜けたとき、「生きていてよいことが本当にあるんだ」と何度も思いました。そして過去を回想して、「よく生き延びられたものだ」としみじみ思いました。それが率直な感慨だったのです。
2.生活面の問題
 うつ状態から何とか抜け出した経験を振り返って、いくつかのポイントがありました。その一つは生活面、身体面への配慮であり、もう一つは考え方の修正です。
考え方の修正は、のちに認知療法や論理療法に触れて時に本格的に修正に取り組んだことがあり、それがうつの再発予防に効果がありました。生活面、身体面の配慮は、私が手探りのなかで身につけたノウハウです。認知行動療法の一つの領域である行動活性化療法がそれに近いかもしれません。
 うつ状態から脱却するには、生活の「構造化」が大事だと思います。うつ…

心の成長へ②・・・逆境の経験を通して

(前回から続く)
4.自分と向き合い克服する
 私の体験を書きます。私は40歳すぎにリストラに遭いました。そして不況のさなか社会に放り出されました。ちょうどそれは厄年に当たる頃であり、中年の危機に遭遇したのです。
それまでの自分の経験も、仕事の武器も使えなくなり、苦しみながら生活の糧を求める努力をしました。うつ状態になり、人生を振り返り、そして後悔しました。その時に私は一つのことに気づきました。「責任に向き合えない弱い自分」に気づいたのです。
「自分は子どもがいないからか、責任感という面で、非常に弱い面がある。どこかで自分に向き合うことを恐れ、現実の難局から逃げたり、あるいは腰砕けになるもろさがある。それは責任感の弱さから来ている。この点をどうしても解決しなければ人間としてお粗末だ。」
そう気がついて反省し、自分の弱さを乗り越えたいと心の深いところで思うと、まさにその機会が与えられました。これは不思議な感覚でした。
私は経営不振で倒産の風評にさらされている会社に採用され、そこで資金繰りや銀行交渉の実務責任者に採用されました。そのポストは従来は取引銀行の退職者が経理部長として就くのですが、誰もが敬遠し、なり手がなかったのです。
全くの未知の分野で銀行交渉などしたことがない私が、担当責任者になり、幸運にも3年間で経営危機は脱して、その後その会社は大きく発展でしたのですが、在任の3年間は文字通りの茨道でした。船底の板が破損すれば沈没し海でおぼれるしかない緊張の中で仕事をする漁師の言葉に、「板子一枚、下は地獄」という言葉があるそうですが、毎月手形が落ちる日が近づくたびに、その言葉の意味が嫌というほど感じられました。
いつでも銀行からの呼び出しに対応するために、病欠は絶対にできません。それまで皆勤賞とは無縁だった私が、体調不良を理由とする欠勤を一度もしませんでした。会社がもうだめかと思う窮地でも、ここであきらめれば倒産しかないので、耐え抜くしかありません。できることは何でもしました。時には取引銀行との交渉の席で土下座もしました。

耐えるためにいつもイメージしたのは、倒産した時に、会社の社長始め社員が路頭に迷い、その家族が塗炭の苦しみを味わう姿です。それだけは避けねばという思いを刻んで自分を奮い立たせました。苦節3年で会社再建のめどが立ち、幾つかの信じられない幸運が重なって、発展への舵を切るこ…

心の成長へ①・・・逆境と向き合う

1.逆境と人生周期の法則
人生をひとつのプログラムソフトとみると、そこには何度かの大きな逆境が予定され組み込まれているように思います。誰しもが7年から10年に一度は、生活構造の大きな変化に見舞われます。それを潜り抜けると、あたらしい生活構造が築かれ、人生の安定期を迎えます。この人生の循環的な運動を「人生周期の法則」と呼びたいと思います。

特に青年期、中年期、老年期の入り口付近で遭遇する大転換期は、大きな脱皮の時期です。ここで今までの考え方、生活の仕方が通用しなくなることを経験します。
したがって、それまでと同じ考え方ややり方で乗り越えようとしても、何故か大きな壁にぶち当たって跳ね返されてしまいます。試行錯誤の末、新しい手法を工夫し、価値感や対人関係のあり方、モノの見方や家族の関係、仕事内容までが変化します。こうしてこの壁を乗り越えると、人生が全く別のステージに立っており、生活の構造が一変していることを発見したりします。
2.脱皮と成長
それを振り返ってみると、このプロセスを通して「古い自分」を脱ぎ捨てる「脱皮」が要求されていたと気がつくのです。今までの価値感、捉われや執着、人間関係、自分への考え方、などさまざまな面での脱皮が求められていたと知るのです。これが自分だと思っていたアイデンティティまでも、大きく変化します。
脱皮は心の成長をもたらします。臨床心理学では成長という言葉とともに成熟という言葉がよく使われます。人生周期の法則には、心を向上させ成長させ、成熟させようという、目に見えない力や目に見えない導きが作用していると思えるのです。

その力は、自分の心の内側から、潜在意識の奥底から湧いてくるもののようです。その意図を感じ取り、そのエネルギーを利用すると、脱皮が比較的スムーズに進み、より完全な転換を成し遂げることができると思います。

3.自分に向き合う
これは逆境克服のプロセスでもありますが、その過程で「自分と向き合う」ということが非常に大切だと思います。自分の弱点や、隠したい経験や記憶、抑圧してきた自分の思い、意識的に、あるいは無意識的に避けてきたこと、そうしたことと「向き合う」のです。逃げないで対決します。そして自分がより成長する方向へ、努力を集中するのです。