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回避性パーソナリティ障害から境界性へ(2)



 回避性パーソナリティ障害を持つ人は、大きな特徴として、「本当の気持ちと向け合えない」という傾向を持っています。

本当の気持ちとは、誰かを好きになったり、誰かを嫌いだったりする気持ちです。また、何かが嫌だ、あるいは何かが大好きだという根本的な感情です。その強い感情を曖昧なものにしたり、逆に否定してしまい、自分の気持ちに向き合うことから逃げるのです。

その理由は、自分が誰かを好きであると認めてしまうと、拒絶されたり、失った時に、自分が傷ついてしまうことを恐れるからです。そうならないように予防線を張って、本心を、自分に対しても相手に対しても隠し、ごまかそうとします。

「本当の気持ちをぶつけるのが怖いから、言わないようにして、傷つかないようにしていた」
という声は、その特徴をよく表しています。

その結果、
「自分の感情がよくわからない」、
「自分の感情をどう表現してよいのかわからない」
という問題が生じてきます。

勉強や仕事でも、本当はやりたいことがあっても、自分には無理だと思いこみ、失敗を恐れるあまり、最初からやろうとしなかったり、その人の能力からすると低すぎるものを選んだりします。

しかし、本当にやりたいことから逃げた結果、フラストレーションが溜り、やる気が起きなくなるという状況が起きてきます。そして最終的には、自分が動けなくなってしまうところまで行くのです。

こうなる理由は、「自分に過度に自信がないため」です。そして、自分の本当の気持ちと向き合うのを避けてきたからです。自信とは、そういう自分と対決して、逃げずに立ち向かった時に、静かにあとからついてくるものではないでしょうか。もし結果が思うようにいかなくても、「立ち向かった自分」には誇りが持てるように思います。逃げずに戦ったということ自体が、自信を与えてくれると思うのです。


さて、「最終的には、自分が動けなくなってしまうところまで行くのです」と書きましたが、動けなくなったということは、心の願いを無視して安易な方向に進むくことを心が拒絶しているのかもしれないと思います。

ですから、回避性パーソナリティ障害から境界性パーソナリティ障害を併発した人が本当に回復するには、自分の主体性を回復する努力をすることが必要です。

そのためには、「自分の気持ちを自覚し、それを口に出して言い、それに基づいて行動できるようになることが何より大事」なのです。

医学博士の岡田尊司氏は、「境界性の状態になること自体、自己主張や主体性を取り戻そうとする変化の現れである」と指摘しています。境界性の状態になっているということは、今までの生き方を変えて、もっと主体的に生き、自己主張もきちんとできる生き方をするように、病気が促してくれているのです。

そこで境界性になった人が主体性を取り戻すには、周囲がお膳立てしすぎて、本人の人生の問題を肩代わりしたり、責任を代行したりしないことが、最低限必要になります。

周囲はつらくても、本人が自分の気持ちに向き合って、自ら立ちあがるのを、辛抱強く時間をかけて見守り、本人を信じて本人の責任で選択してもらい行動してもらう必要があるのです。これは本人の「内なる力」を信じないとできません。周囲の人も一段と成長することが求められ、促されていると言えましょう。



(注:本文中の「  」内は、岡田尊司著『境界性パーソナリティ障害』から引用させていただきました)

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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
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青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

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理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


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そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


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②アンビバレント(両価的)な感情
このタイプの人を理解する鍵は、「アンビバレント(両価的)」な感情にあります。