(前回に続いて、境界性パーソナリティ障害の人を支える人々が、知っておくべき向き合い方の原則を紹介します。今回ご紹介するのは本人の「主体性」を尊重し、依存させ過ぎないように配慮するということです。)
相手の主体性を尊重する
境界性パーソナリティ障害の人で、普通の家庭に育った人に多く見られるの共通項があります。
親の干渉的な養育の結果、「主体性と責任を侵害されることによって出来上がってしまった『偽りの自己』」に対して「拒絶反応」をしているということです。
親の干渉的な養育の結果、「主体性と責任を侵害されることによって出来上がってしまった『偽りの自己』」に対して「拒絶反応」をしているということです。
本人は今まで自分自身で試行錯誤して、精神的な寄り道をすることが許されてこなかったことが多くあります。彼らは常に親の期待に沿おうとして努力してきました。その結果できた「偽りの自己」の「仮面」を、今脱ごうとしてもがいている。これが境界性パーソナリティ障害の姿なのです。
ゆえに、周囲ができる最善のことは、「親や周囲が本人にかけている一方的な期待や価値観の押しつけを一切止めること」。そして「本人の選んだ道や本人が大切にしていることに、温かい眼差しを注ぐこと」です。
往々にして、「本人がすべきことまで親や周囲がしてしまっている」ことがあります。
本人が「主体性を取り戻す」ことは、「責任をとり戻す」ことが伴います。
あくまでも自分がすべきことを自らするように、本人の力と努力で対処させるようにすることが必要です。しかも問題を起こした時は、「うやむやにせずにきちんと責任を取らせる」ことが、主体性を育てることにつながります。
本人が「主体性を取り戻す」ことは、「責任をとり戻す」ことが伴います。
あくまでも自分がすべきことを自らするように、本人の力と努力で対処させるようにすることが必要です。しかも問題を起こした時は、「うやむやにせずにきちんと責任を取らせる」ことが、主体性を育てることにつながります。
してはいけないことは、「本人かわいさに、ごまかして守りすぎる」ことです。それは本人の心を腐らせてしまいかねません。
支援者は、一方では本人を認め、励ます姿勢を保ちながら、他方においては、すべきことをはっきり伝える姿勢を取り続ける必要があります。もし思いやりが過保護の域に達すると、本人は自分に対する責任を放棄してしまうからです。
境界性パーソナリティ障害の人に接するうえで非常に効果があることが知られている接し方に、S・E・Tがあります。Sはサポート(支持)、Eはエンパシーン(共感)、Tはトルース(真実)の略語です。支持し、共感し、真実で接するということです。
医学博士の星野仁彦氏は、その具体的な接し方を次のようにわかりやすく説明しています。
「日常的なことでは、どんな場面でも、どんなときでも、絶対に見捨てない、という安心感を、根本において、きちんと伝えることが大切なのです。
そして、そういう『支持』や『共感』という温かいサポートのうえに立って、最終的には、彼らに、自分に起こる出来事や反応は、自分がしたことに基づいていることを理解してもらうことです。
相手を責めるばかりではなく、責任は自分にもあるということを、彼らが本当の意味で分かっていくことが、今後、豊かな人間関係を築いていくうえで非常に大切になってきます。」
S・E・Tについては、今後も紹介していきますので、実践で使えるようになっていただきたいと思います。
<ご案内>
種村トランスパーソナル研究所ではカウンセリングを行っています。
対面のカウンセリング以外にも、電話カウンセリングやメールでのカウンセリングも受け付けています。遠慮なくご利用ください。ご連絡をお待ちしています。
対面のカウンセリング以外にも、電話カウンセリングやメールでのカウンセリングも受け付けています。遠慮なくご利用ください。ご連絡をお待ちしています。
電話:090-8051-8198
メールアドレス:tanemura1956@gmail.com
カウンセリングルームは千葉県のJR常磐線・我孫子駅南口から徒歩10分の場所にございます。
(参考図書)岡田尊司著『境界性パーソナリティ障害』幻冬舎新書
『境界性人格障害のすべて』ジェロルド・J・クライスマン、ハル・ストラウス共著 VOICE
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