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境界性パーソナリティ障害を支えるために⑬ 言葉で栄養を与える



(境界性パーソナリティ障害の人を支える人々に必要な、知っておくべき向き合い方の原則を紹介しています。今回紹介するのは言葉の使い方です。)

1.言葉で心の栄養を与える

境界性パーソナリティ障害の人を支えるうえで言葉は大変重要です。苦しんでいるご本人は、見捨てられ不安を抱え、愛情飢餓感を持っておられますので、言葉で心に栄養を与えることには、とても大きな意味があります。

①いつも寄り添っていることを伝える言葉

境界性パーソナリティ障害の人は、少しの失敗でも希望を失ったり、極端に落ち込んで弱くなったりします。励ます思い、安心させる思いを、シンプルに伝えることで、心にカンフル剤を与えることができます。

その際に必ずしも理屈はいりません。安心を取り戻させるためには、シンプルな包み込むような言葉を使えばよいのです。励ましたいという気持ちが大事です。それがあればきっと的確な言葉を、信念をこめて伝えることができます。

「大丈夫だよ」
「心配はいらない」
「きっとうまくいくよ」

まずこういう言葉で大きく包み込みます。そして安心を与えます。言った家族も、この言葉で力を得ます。

境界性パーソナリティ障害の人は、孤立無援感をもつと、思いつめて自己破壊的な行動へと駆り立てられがちです。ですから・・・、
「いつもあなたに寄り添っているよ」
という思いをこめて、シンプルな温かい言葉をつかいます。

苦しい時には助けを求めたらいいんだよ。決して一人じゃないよ
という思いを、言葉にしっかりと込めましょう。

「一人だけで悩まなくていいんだよ」
「一緒に考えていこうね」
「いつも見守っているよ」

いつも寄り添っていることを、何度でも伝えてください。
もし実際には物理的にいつもそばにいられなくても、気持ちは常に寄り添えますから。

②逆転の発想を盛り込んだ言葉

失敗や挫折に強くなるコツは、目の前の失敗やその結果起きることへの不安から視線をあげて、未来の可能性へと目を向けることです。
境界性パーソナリティ障害の人には、その訓練が特に必要です。

過去のことはいくら悩んでも変えられないけれど、未来はこれからの努力で変えていけることを伝えます。今までの人生を嘆くより、これからいい人生をつくっていこうと呼びかけます。

それは支援している側であるあなたの心にも呼び掛けてください。
しだいにその言葉どおりになります。言葉には実現する力があるからです。

「本当の人生は、これからだと思うよ」
「今まで苦しんだ分、これから取り戻そうね」
「過去は変えられないけど、未来は変えていけるよ」

これを語るあなたが、もし苦しんでいたら、深い共感をもって語ることができるはずです。
自分にも言い聞かせるように語る言葉には、魂がこもります。

さらに、逆境を跳ね返す見方を言葉で伝えます。
最悪と見える状態も、必ずいい面があります。
陰極まれば陽転する」というのは中国の易経の言葉ですが、悪いことがとことん極まると、必ず良い方向へと反転するという人生の真実を簡潔に教えています。
「陰極まれば陽転する。」
これは確かに人生の真実です。

夜が最も暗くなった時、夜明けが近づいています
朝日はそこまで来ています。
それを信じたら、頑張れます。
そうしたら必ず「朝日」を見ることができます。

最悪の状態にも必ず良い点があるという逆転の発想を、言葉に盛り込みます。

「これ以上悪くなることはないよ。底を打てば、必ずリバウンドするからね」
「これから、かならずよくなっていく」
「ピンチはチャンスに変えられるよ」
「苦しんだ分だけ優しくなれるから」
「苦しみを耐えた分だけ強くなるよ」
「強くなるための試練を与えてもらったと思おうよ」

これを自分にも断言するのです
そして、あなたの言葉で確信をもって本人にも伝えましょう。

③優れた面に光を当てる言葉

境界性パーソナリティ障害の人は自信を失っています。
自分の欠点や悪いところばかりを見て、長所や優れた点がまったく目に入らないからです。
だから、すっかり打ちのめされています。

これは、「自分の短所ばかり拡大鏡でみて、自分の長所が見えない」という心理的な囚われのせいです。このネガティブな囚われを中和する必要があります。
それには、周囲が言葉で本人の優れた点を伝える必要があります。

でも、本人が言う自己否定的な発言を、頭から否定する言葉はつかわないでください。
それでは自分が受容されないと感じます。
まず本人が言う不満や自己卑下を聴いても、「あなたはそう思っているのね」といったん受け止めます。
その上でさりげなく言いましょう。

「でも、あなたの~のところは、なかなかのものだと思うけど」
「でも、あなたの~なところを、○○さんはすごくほめていたよ」
「あなたはずいぶん謙虚ね。そういうところがいいわね」
「あなたには素晴らしいところがあると思うよ」

本人が語る自分の不完全さへの嘆きや自己否定を、そう本人が思っている気持ちを受け止めながら、それをもっと大きな肯定や賞賛で包み込むように返すことを、何度も何度も繰り返してあげてください。それによって自己否定の傷口は少しずつふさがれていきます。

そういう丹念な繰り返しができる家族や友人などの支援者は、本人を支えて癒すかけがえのない存在です。
もし過去にそういう対応を取れなかったとしても、今それを行うことで本人は癒されていきます。

「あなたは、どうしてなかなか見所があるわね」
「あなたは知れば知るほど味のある人だね」
「君の欠点だったところが、魅力に変わってきている気がするよ」

こういう言葉は、本人の変化や成長を意識させる言葉であり、本人が自分の成長を確認でき、自己回復のきっかけになります。

④本人の可能性を信じて伝える言葉

境界性パーソナリティ障害の人は失敗して傷つくことを恐れています
自分の能力を低く見ているので、成功することよりも失敗の原因となることばかりが頭から離れません。
失敗してプライドが傷つくのを恐れるあまり、挑戦することから逃げたり、他の問題を起こして周囲を煙にまこうとします

しかし、本音を言うと、とても頑張り屋で、自分を人に認めてもらいたいという欲求は人一倍強く持っています。その気持ちの背中を押してあげる言葉を投げかけてあげてください。

「あなたは、やれる」
「あなたなら、きっと成し遂げられる」
「あなたなら、きっと最後にはうまくいく」
「あなたは困難を克服する力を持っている」

「どこにそんな根拠があるんだ」と反論されても、

「私はそう信じている」

と返します。いちいちその理由を説明する必要はありません。

本人が必要なのは、本人の力を信じてくれる存在なのです。本人の力を信じる言葉です。希望を捨てない心です。

あなたは本人を誰よりも信じて、希望をもって見守ることができます。
なぜならあなたは本人を誰よりも愛しているからです。


<ご案内>
種村トランスパーソナル研究所ではカウンセリングを行っています。
直接お会いする対面カウンセリングとともに、電話カウンセリングやメールによるカウンセリングも行っています。ご相談してみたいと思われるかたは、遠慮なくご連絡ください。
℡ 090-8051-8198 
(メール)tanemura1956@gmail.com
カウンセリングルームは、JR常磐線・我孫子駅(千葉県)南口から徒歩10分にございます。


(参考図書)

『境界性パーソナリティ障害』岡田尊司著 幻冬舎新書

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「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


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