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境界性パーソナリティ障害15…他人との「境界」があいまい



心理特性とその対策② 健全な境界を設け、尊重する


境界性パーソナリティ障害の人には、認知の特徴として、「境界」があいまいであることがあげられます。境界というのは、自分と他人との心理的、身体的な境界のことです。

境界性パーソナリティ障害の人は、自分と他人との境目があいまいで、十分に区別ができないという傾向が強いのです。


自他の境界があいまいだと、次のような問題が生じてきます。


・自分の視点と他人の視点を混同してしまい、自分がこう考えているから相手も当然こう考えているはずだと思う。


・自分が好きなものは他人も好きに違いないと思いこみ、逆に、自分が嫌いなものは他人も嫌いだと思い、無意識的に相手に好みを押し付けてしまう。


・自分と相手が別の存在で、自分の感じ方と相手の感じ方は別々のものだと頭では理解しても、いつの間にか混同し、そのことに本人が気がつかない。


・「自己」という「感覚」の発達が不十分になり、周りの人が自分の延長と思うため、自分が憎くて自分を傷つけるときには、周りの人も同時に傷つけてしまう。


・境界がない人が、相手からノーと言われると、自分の存在を全部否定されたように思い混乱する。人間はお互いに別人格であり、お互いの意見や感覚の違いを尊重するべきだということが分からない


境界性パーソナリティ障害では、頭では自分と相手の区別をある程度理解はしています。しかし、強いストレスを受けたりすると、その区別があいまいになるのです。さらに甘えの許される相手である恋人や親に対しては、自分と相手との境界が失われやすくなりがちです。


ある経営者の妻は、気にいらない人ができると、自分が気にいらないその相手を、経営者である夫にも付き合うことや雇用することを禁じたりします。経営者としての夫の立場からは、自分とは違う見方で相手が見えるということが、その妻には受け入れられないのです。


また伴侶が無制限に相手に自分の要求を押し付けてくることや、子どもが無制限に親に要求を押し付けてくることがあります。彼らは何かの意見の違いがあったり、欲求が満たされないことがあると、自分と相手が違うということが分からなくなり、相手は自分と同じ感覚になって当然なのにおかしいと思って怒ります。


健全な「境界」の自覚は、お互いの違いを尊重するとともに、これが自分だというアイデンティティの感覚をもたらします。

逆に健全な境界が持てない場合は、相手との違いが我慢できなくて相手に自分の意見や感覚を押し付けて人間関係を損なって孤立したり、アイデンティティの感覚が持てず、「自己」という「感覚」が持てなくなります。


自分の基準でしか、相手を見ることができない」というのも、境界のあいまいさから生じます。

これは自分の心の問題に気が付きにくく、周囲の問題にばかり目が向きやすい原因にもなります。自分の基準でしか相手を見ないので、相手を一面的に判断し、好き嫌いや支配の激しい、過酷な状況をつくりがちです


境界があいまいだと、自分と他人の「感情」を「混同」しやすくなります。


混同は、一つには、相手の気分に巻き込まれやすく、相手の感情が伝染しやすいということです。相手の感情が無意識的に自分に侵入してきて、あたかもそれが自分の感情であるかのように錯覚してしまうのです。

この場合は、「これは本当に自分歩感情だろうか。ひょっとしたら相手の感情が侵入して自分の感情のように感じているのではないか」と、点検する必要があります。それに気がつかないと、相手の感情に感染して、それに飲み込まれていきます。そうなると自分が自分でなくなっていきます。


もう一つの混同は、自分がイライラしていたり気分を害していると、相手もイライラしていたり、気分を害しているようにと感じてしまうことです。これは投影と言われる現象です。

例えば、自分が疎外感や劣等感を感じていると、まるで相手が自分のことを邪魔者扱いしようとしていたり、馬鹿にしているように感じるというものです。これは「自分の感じている恐れ」が、周囲に投影されて、相手が自分を「迫害する者」に見えてくるのです


境界性パーソナリティ障害の人は、伴侶を物凄い迫害者だと表現し、自分はその被害者であると思いこんでいる場合が少なくありません。こういう時には、そこに投影が働いていないかを慎重に見てあげる必要があります。そうしないと、その人の見方に飲み込まれて、客観的に見えなくなり、その人の心の問題も見えなくなるからです。


境界があることは、決して孤独や人間関係の切断を意味するわけではありません

親子であっても伴侶であっても個性は一人一人違います。つまり感じ方や物の見方は違うのが当たり前なのです。その個性を尊重することが健全な境界をもつことであり、それは自分のアイデンティティを確立するためにも不可欠なことなのです。

違いを尊重しながら付き合いことで、永続する良好な人間関係ができるのです。そのことをしっかりと認識し、お互いの境界を尊重することが、パーソナリティ障害克服の第一歩となります。

相手を自分と同じとみなして、自分と同じように考えたり感じたりしないことを憤ると、その人の人間関係は崩れていきます。親身になってくれた人が離れていき、孤独になるのです。

適切な境界ということを、しっかりと受け入れる必要があります。相手には相手の考えや感じ方があり、それは自分と違っていても尊重してゆこうという姿勢を持つことによって、孤独は克服できるのです。

境界性パーソナリティ障害16はこちらです。

 http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/03/17.html

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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
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「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


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このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


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