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境界性パーソナリティ障害9…特徴(7)空虚感



境界性パーソナリティ障害の人は、慢性的な空虚感に悩む人が多くいます。


好調なときですら、漫然とした空虚感があり、それを何かで埋めずにはいられません。いけないと思っても、強い刺激を求めてしまいます。


空虚感は、ひとつには「すべてがつまらない」という感覚です。


「誰と付き合っても裏切られ、なにをしても長続きせず、満足感も得られない。おもしろいことも楽しいこともない。生きている充実感も感じられない。」


これは心が乾いて満たされず、大変つらいです。人は心の奥に、自分自身とつながった感覚があると充足感を感じますが、自分自身と遮断されている感覚が続くと、どうしようもないような空虚感や苛立ちに心が荒んでいきます。ワクワクするようなことができると、自分自身とコンタクトがとれるのでしょうが、自分が自分とかけ離れていると、空虚感が心をむしばんでいきます。 

空虚感にはもう一つの側面があります。


「自分が何者かわからない、自己否定感、見捨てられ感から、自分にも人生にも虚しさを感じる。

何が足りないのか分からないが、何かが欲しい。」


これは「何かが足りない」という心の空っぽさの感覚です。それを埋めてくれるものを求めずにはおれないという衝動にかられます。これは自分が愛されているという感覚の欠如でもあるし、安心感の欠落でもあると思います。心の基盤となる安心感、誰かに愛されている存在であるという自分自身の存在への肯定感が持てないと、こうした空虚さに苦しむのではないでしょうか。

好調なときですらこうですが、物事がうまくいかない時は、さらに空虚感がつのります。するとこれまで努力を積み重ねてきたことや、大切にしてきたことも、些細な行き違いや不満から、すべて無意味なことに思えてきます。そしてもうどうでもよくなったり、生きること自体が無意味に思えたりするのです。これは自殺衝動にかられやすい心の状態といえます。
こうした心が空っぽという感覚は、なにかで埋めずにはいられません。しかも刺激が強いほど虚しさを忘れられるので、危険な行為にのめり込みます。


自傷、万引きなどの触法行為、性的な逸脱、過食、ドラッグへの依存、アルコール依存、ギャンブル、浪費などです。こうしたものにはまり込む人の心の中には、どうしようもない空虚感という苦しみを抱えているということを知ってほしいと思います。


しかし一時の快楽に身を任せても、ドラッグや食べ物で虚しさを埋めようとしても、癒されるのは一時的なものです。必ず後で強く後悔します。さらにこうした薬物や行為に依存するようになりがちで、そうなるとどんどん自己破壊が進んでしまいます。
 

この空虚感の背景には何があるのでしょうか。


精神科医の岡田尊司氏は、「もっとも愛情を必要としたときに、愛情や関心を十分にもらえなかった事情」が関係しているといいます。「自分が大切だと思っている人が、自分に対して関心を持ってくれなかったり、その人の否定的な態度に触れる」と空虚感は強まりやすいのです。


しかし、これとは逆に過保護や満たされすぎた子供時代を送った人にもよく見られると、岡田氏はいいます。確かに何でも親がかりで、自分の意志で自分の努力によって何かを達成するという経験が乏しい人は、自尊心、自己信頼の感覚が育っておらず、心の底では強い自己否定感を持っています。それもまた空虚さの原因となるのです。何でも親の言うことを聞いてきた「いい子」が思春期に入って境界性パーソナリティ障害の兆候を見せることがある場合には、そういう背景があります。

境界性パーソナリティ障害10に続く。

http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/02/blog-post_7.html

 (参考)岡田尊司著『境界性パーソナリティ障害』幻冬舎新書


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1.決して珍しくない症状



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そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


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