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境界性パーソナリティ障害14…枠組みがないと不安定に




心理特性と対応法①・・・冷静で父性的な対応が必要


境界性パーソナリティ障害の人には、一つの認知(認識)の特徴があります

それは、「しっかりと構造化された状況においては、何の問題もなく対処することができるのに、構造があいまいな状況では、戸惑いや混乱を引き起こしやすい」というものです。


構造(化)というのは、言い換えると秩序行動等の枠組みです。そして構造がしっかりしているというのは、カウンセリングであれば、時間や費用や手段や場所についてはっきりと取り決めをしておくということです。生活であれば、規則や目的がきちんと決められている状態です。人と話す時も、何でも自由に話してよいと言われるのは困るが、何を話すか決められていたりすると、安心するのです。これが構造がしっかりしている状態です。

そうした行動の枠組みがカチッとしていると、日常生活やコミュニケーションは問題なくスムーズにいきます。


しかし、細かい規則や決められた日課がなく、要求するままに応じてもらえるような環境に置かれると、情緒が不安定になるのです。つまり「これはしてもよい」が「これはダメ」という、規則がなくて、要求するままに応じてもらえるような状況は、一見優しく見えますが、どんどん要求がエスカレートしていきます。どんどん要求が膨らんでいって、コントロールができなくなり、不満や苛立ちがつのって、行動や感情にブレーキが効かなくなるのです。


たとえば、家庭であれば、子どもに対して、していいことと悪いこと、生活のルールをきちんと決めておいて、しっかりとそれを守らせる厳しさが必要になります。それを両親のどちらかが受容的になりすぎてあいまいにすると、かえって不安定化して、その子供は行動や感情の抑制ができなくなりがちです。冷静な厳しさがあることが、境界性パーソナリティ障害を持つ子供の心を安定させます。


「可哀想だ」という同情で接しすぎると、情に溺れて相手の要求や感情に飲み込まれていってしまいます。ここで相手の感情の渦に飲み込まれないようにするには、冷静さを持ち続けることが重要です。

カウンセリングを学ぶと、共感や受容に意識が向かいがちですが、境界性パーソナリティ障害の人には、それがいきすぎると、かえって相手を不安定にさせることがあるのです。


普通であれば愛情や保護をどんどん与える母性的な対応は、情緒障害を持った子どもに対して有効な場合が多いのですが、このケースだけはそうとは限りません。むしろ、「ダメなことはダメ」とはっきりと言いきかせ、しっかりとした行動の制限を設けて、それを守らせる必要があるのです

これは父性的な対応です。父親がそれを理解して、母親と心をひとつにして対応することが大切になります。



聞くときの注意


これは境界性パーソナリティ障を持つ人を支える友人や支援者にとっても重要な教訓です。


話をする時も、質問されたことにだけ答えるというやりとり(注:これを構造化された質問と言います)をしている間はそれほど問題がありません。

しかし、思いつくことを何でも話していると、次第に話がとりとめがなくなり、極端な方向に話が進みやすくなります。現実離れしてきたり、過去のつらい経験を話し過ぎたりして、話しているうちに、動揺して情緒が不安的になることがあるのです。


こういう時は、あまり話し過ぎないように常識的なラインで話を止めたり、聞きたいことをはっきりして、ある程度限定的に質問するようにしたほうがいいのです。


受容や共感も最小限に努め、黙ってうなずきながら聞いているのがよいのです。

そこで、聞き手が過敏に、感情豊かに反応しすぎることは、境界性パーソナリティ障害の感情的な起伏を増幅することになり、かえって不安定にさせる恐れがあるからです。


境界性パーソナリティ障害は何よりも感情のコントロールができにくい障害ですので、これには気をつける必要があります。


話をきくときにも、なるべく現実に話を戻すことも大切です。過去の話をしても、それが現在や未来にしっかりとつながっていることを意識できるように、支援者が一貫した視点をもって接する必要があります。それが本人が一貫性や現実感覚を取り戻す助けになるからです。


なお、境界性パーソナリティ障害の人を支援する場合は、決して動揺して相手の感情に飲み込まれてはいけません。

冷静に、少々のことにはびくともしない不動心をもって接し、ダメなものはダメと、ここぞというところでは決してひかない一線をキープすることで、本人の動揺は収まっていきます。支援する人の不動の心が、相手に伝わって落ち着かせていくのです。明確に枠組みを決めてそれをふらつかせないことと、大事なことは一歩も引かない姿勢が、本人の安定につながるのです。


境界性パーソナリティ障害15に続く。

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そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


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