スキップしてメイン コンテンツに移動

境界性パーソナリティ障害6…特徴(3)ムード・スウィング




①めまぐるしく気分が変わる

 
境界性パーソナリティ障害の人は対人関係が極端に変動し不安定なだけでなく、本人の気分・感情も大きく変動するという特徴があります。

ハワイに行くと、お天気が短時間で大きく変動して、晴れていたと思うと突然、猛烈なスコールが降ることがあります。このタイプの人の気分や感情の変動も、ハワイの天気によく似ています。つまり晴れ渡って青空が見えていたかと思うと、突然曇って大粒の雨がシャワーのように降ってくる。しばらくすると嘘のように雨が上がり、青空が見える、という具合です。

「気分がよく、希望が感じられ、何もかも楽観的で前向きに考えられる」と気がすこし続くと、突然、「最悪の気分で、すべてが駄目に見えて落ち込んでいる」という具合です。最高と最低の状態を往復し、気分が目まぐるしく変わります。そのきっかけも些細な傷つきなどで、あっという間に絶好調から絶不調に揺れるのです。

境界性パーソナリティ障害の人は、潜在意識と同通している度合が強く、いわゆる霊的な感覚が発達しています。そのために、些細な気分の変化や、人の些細な一言で、一気に感情がぶれていくのです。肯定的な思いを持っている時は非常に幸福感が強かったのに、何かの拍子でネガティブな感情に入ると、底なし沼のような暗い暗澹たる感情に支配されます。その落差は激しく、しかも比較的短時間で変化するというのが、境界性パーソナリティ障害の特徴です。
 
境界性パーソナリティ障害を抱えた妻を持ったJさんは、「結婚生活は、つかの間天国にいるかのように感じたかと思えば、その次は地獄だよ」といいます。

「妻の気分はコロコロ変わるんだ。彼女を喜ばせようとしたり、けんかになることを避けようとしてビクビクしているようなものだよ。話すスピードが速いとか、声のトーンがおかしいとか、表情が変だとかで、喧嘩になるのはごめんだからね。彼女がしてほしいと言ったことをその通りやっても、彼女は腹を立てるんだ。彼女が『一人になりたいから子どもをどこかに連れて行ってくれない?』と言ったことがあったよ。それで僕が子どもを連れて出かけようとすると、彼女は僕の頭めがけて鍵を投げつけて、『私のことを憎んでいるから家にいられないんでしょ!』と責めたんだ。でも僕と子どもたちが映画から帰ってきた時には、彼女は何事もなかったかのようにふるまっていた。」

 
ムード(気分・感情)が激しくスウィング(揺れる)することをムード・スウィングと呼びますが、それが境界性パーソナリティ障害の人の特徴です。2~3時間で変動することもあれば、まれに2~3日のこともあります。いずれにしても短期間で変わります。

これは特殊なうつ病を併発しているとも言えます。うつ病でも、較的軽いうつ状態を繰り返すのを「気分変調症」、さらに過食過眠が伴って周囲に対して攻撃的になるのを「非定型うつ病」と言います。梅雨のように長期間続く通常のうつ病ではなく、熱帯地方のスコールのように短期間で変動するのが特徴です。境界性パーソナリティ障害はこれらを併発していることも少なくないのです。

 
なお、気分が変わるきっかけは、見捨てられ不安を感じさせるささいな出来事のほか、次のようなものがあげられます。

・自分がないがしろにされたと感じる

・自分の思い通りにならないとき

・疲労

・睡眠不足

・生理前

ただし、特に原因がないケースも少なくないようです。

なお極端な気分の変動という特徴は、診断基準「DSM-Ⅳ」の(6)には、「顕著な気分反応性による感情不安定性」と表現されています。そして「通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安」という説明がついています。

境界性パーソナリティ障害7に続く。
http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/01/blog-post_20.html

(参考文献)ポール・メイソン&ランディ・クリーガー著 『境界性人格障害=BPD』星和書店 

<提供・連絡先>

種村トランスパーソナル研究所(心理カウンセラー・種村修)


電 話:090-8051-8198

コメント

このブログの人気の投稿

境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

境界性パーソナリティ障害を持つ人は感情がとても不安定です。

たとえば、片時も離れたくないほどの恋人だったはずなのに、突然鬼のような怖い顔になり怒りまくる。たんなるお友達のはずなのに、夜中まで突き合せておきながら、翌日はがらっと態度が変わり激しく罵倒する、などなど・・・。

こうした極端に不安定な気持ちや言動の元にあるのは「相手に見捨てられるかもしれない」という不安です。しかも、その「不安」は、本人が思いこんでいるだけで、相手にしてみれば全く心当たりがない場合がほとんどです。そのため何を怒っているのか、見当がつきません。

境界性パーソナリティ障害の人は、大変深刻な「見捨てられ不安」をもっているのです。そのために、ささいな…

境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

①感情がコントロールできない

境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

②怒りの奥にある生き残り戦略…

境界性パーソナリティ障害5…特徴(2)対人関係の不安定さ

①理想化とこき下ろし

境界性パーソナリティ障害の二番目の特徴は、人間関係が不安定で変動が激しいことです。
「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


もし恋人関係になったとしても、この関係は長続きしません。どこかで相手が支えきれなくなるからです。相手がその人のもつ過大な期待にしり込みしたり、あるいはもう飽き飽きしたという態度を取ると、境界性パーソナリティ障害の人は「見捨てられるのではないかという不安」に捉われます。
そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


些細なきっかけで、その人の何らかの要求が満たされないと、評価が180度逆転して、罵詈雑言を浴びせることもありがちです。そして「最低!」「信じて損した」「私の時間を返してよ」という具合に、激しい言葉を浴びせるのです。言葉だけでなく、行為で迷惑をかけることもあり、相手は翻弄されていくことになります。
②アンビバレント(両価的)な感情
このタイプの人を理解する鍵は、「アンビバレント(両価的)」な感情にあります。