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境界性パーソナリティ障害4…見捨てられ不安について




境界性パーソナリティ障害の特徴である見捨てられ不安は、多くの場合、幼少期あるいは子供時代のトラウマ体験に起因しています。
 

①親に捨てられた体験

例えば、母親が家族を捨てて家出をするということがあります。ある母親は夫のDV(家庭内暴力)に耐えかねたときに、家を逃げだしました。子供がいる場合に、子どもを捨てて家を出るというのは、よほどの事情があったと思われます。しかし、どのような事情があり、どれほど心理的に追い詰められていたとしても、母親が子供を置いて家を出るということは、子どもにとっては自分が「いらない児」として見捨てられたことを意味します。子供にとって、その衝撃の強さは想像を絶するものがあると思います。


ある人は、子ども時代のある時期の記憶が、完全に欠落しています。どうしても思い出せないのです。ようやく思いだせたのは、母親がある朝、どこにもいなくて空っぽの部屋だけがあった記憶でした。夫の暴力や借金に耐えかねた母親が、子供を置いて出ていったのです。その時の一コマのシーンだけは思いだせるものの、当時の感情は、まったく思いだせないと言います。


こうした記憶の欠落を、解離性健忘といいます。魂が衝撃で抜け出てしまい、その時の記憶がなくなっているのです。

②性的虐待の体験

見捨てられ不安のもっと深刻なケースでは、家庭内における性的虐待があります。特に小さな女の子を連れた母親が再婚した場合に、その義父との間に性的虐待が起きやすいことはよく知られています。この場合、子どもが何年もの性的虐待に耐えて、思春期に入ってやっとの思いで母親に義父による性的虐待の事実を訴えたとしても、母親はそれを否定し、義父も否定するという場合があります。


母親としては、虐待の事実を認めることは、夫の愛と生活の基盤を失うことを意味するだけでなく、もっともあってほしくないできごとです。ゆえに母親には自動的に自己防衛の機制(システム)が働きます。その結果「そんなことあるわけがない。あなたはおかしなこと言うんじゃない」と否認して、娘の言うことを全面否定します。


こうなると、娘は母親から見捨てられたという、猛烈なショックを受けることになります。誰も私を守ってくれない、母親ですら私を守ってくれないという衝撃は、のちのちまで深い心の傷として残ります。


ほかにも様々なケースがあるでしょうが、いずれにしても子供時代に受けた親から見捨てられた心の傷は、深く残り、「また大切な人から見捨てられるのではないか」、「裏切られるのではないか」という不安をかきたてます。その不安があるために、一方では捨てられないようにしがみついていくという衝動が生まれます。と同時に、親しくなればなるほど捨てたらどうしようという不安が心の中に増加してゆきます。この二つの葛藤がジレンマとして生まれるのです。

③深層潜在意識の記憶

こうした明らかな原因がある場合とは別に、普通の家庭に育ちながら、妹や弟が生まれて、そちらに親の関心が移ったということをきっかけに、強い見捨てられ不安が育つ場合もあり得ます。この場合、深層潜在意識に見捨てられたことへの心の傷が残っていることも考えられます。深層潜在意識の傷は退行催眠などで語られる場合がある過去世の心の傷・トラウマです。


こうした症状の出る子供の家庭は、一見普通の家庭に見えていても、幼少期に病気や家庭の事情で母親が子供の養育に没頭できなかったり、親が精神的に不安定で、愛着形成と呼ばれる母親と子どもとの親密な心の絆が結べないことあるようです。こうして幼少期の子どもが、安心感や愛情が脅かされていたと感じる事情があり、それが深層潜在意識の心の傷と呼応しているケースが少なくないと思われます。


いずれにせよ、見捨てられることへの強い不安は、トラウマと呼ばれるような見捨てられたり裏切られた体験から来る場合が多く、一見そういう深刻な経験がないように見える場合でも、家庭の事情と深層潜在意識に心の傷がある可能性を考慮に入れる必要があるといえそうです。

境界性パーソナリティ障害5に続く。

http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/01/52.html


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