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境界性パーソナリティ障害5…特徴(2)対人関係の不安定さ



①理想化とこき下ろし

境界性パーソナリティ障害の二番目の特徴は、人間関係が不安定で変動が激しいことです。

理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


もし恋人関係になったとしても、この関係は長続きしません。どこかで相手が支えきれなくなるからです。相手がその人のもつ過大な期待にしり込みしたり、あるいはもう飽き飽きしたという態度を取ると、境界性パーソナリティ障害の人は「見捨てられるのではないかという不安」に捉われます。
そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


些細なきっかけで、その人の何らかの要求が満たされないと、評価が180度逆転して、罵詈雑言を浴びせることもありがちです。そして「最低!」「信じて損した」「私の時間を返してよ」という具合に、激しい言葉を浴びせるのです。言葉だけでなく、行為で迷惑をかけることもあり、相手は翻弄されていくことになります。

②アンビバレント(両価的)な感情

このタイプの人を理解する鍵は、「アンビバレント(両価的)」な感情にあります。

両価性(アンビバレンス)とは、「同一の対象に対して、同時に正反対の感情を抱くことです。一人の人物に対して、「信頼できる大切な人だ」という気持ちと、「信用すれば、いつか自分を裏切るにちがいない」という、相矛盾する気持ちが同居してしまうのですこれは極めて重要な点です。
そのため、相手に対してその人がいい顔を見せて、相手の気に入るようにふるまえば振舞うほど、その人の心の中には「正反対の気持ち」がつのっていくのです。その二つの気持ちのギャップが開きすぎたときに、突如、「正反対の行動」が引き起こされて、相手はびっくりする。そういうことが起こりがちです。


 一番親身になって支えてくれる人ほど、「この人は信じられる」という信頼感を抱くと同時に、「信じられない、いつか見捨てられる」という不安が高まっていくために、ふとしたきっかけで正反対の極端に振れる行動を取るのです。

③「本当の親」探しの旅と見捨てられ体験

 心理療法家の岡田尊司氏は、このタイプの人は、「これまでの人生において親に見捨てられたと感じ、『本当の親』探しの旅をしてきた」ことがあると指摘しています。


つまり、彼らは現実には得ることができなかった「完全無欠の親」、つまり本当に信じることができて絶対に裏切らない、自分に百パーセントの愛を注いでくれる完全な人を見つけようと、必死で求めてきたというのです。そして「この人は」と思う人に出会うと、相手に完全な愛を求めるのですが、誰もその人の理想にかなう「親」などにはなれません。そのため常に自分が求める親の理想像を映し出せる人を見つけては、結局は裏切られたという経験を積み重ねていくことになるわけです。

その結果、「どんなに誠実で、自分のことを思ってくれる人が現れようとも、いつか裏切って見捨てるに違いない」という確信が生まれます。こうしてせっかくの出会いが、見捨てられ経験へと変わってしまうのです。


 境界性パーソナリティ障害の人が本当に回復するためには、「いつか見捨てられる」という誤った確信を克服する必要があります。そのためには、「親をもう一度、信頼できる存在として受け入れる」か、あるいは親代わりをしてくれる存在に支えられていく中で「親を求め続ける気持ちを卒業」していくか、そのどちらかが必要です。
 

④安定的な人間関係は可能である
 

 以上のような傾向があるといっても、このタイプの人が永遠に不安的な人間関係を繰り返すわけではありません。
 このタイプの人は、相手が本当に信頼できるかどうかをまず試そうとします。

例えば、里子でもらわれてきた子供は、しばしば悪さをすることで、里親が本当に自分を愛しているかどうかを試すことがありますが、それと同じです。この試しの時期を過ぎて、一定の愛着や信頼が生まれると、今度はその関係を大切にして、守ろうとすることも少なくありません。

つまり彼らのアンビバレントな感情を十分知った上で、それを超えて根気強く変わらぬ愛を注いでくれる人に出会うと、安定するのです。


「対人関係が両極端で不安定である」というのは境界性パーソナリティ障害の「症状」ですが、その人が安心して受け止めてもらえる環境に置かれれば、その症状は改善されて、長期間に及ぶ安定的な人間関係は可能なのです。不思議なことに境界性パーソナリティ障害の人には、そういう人が現れるケースが少なくないようです。

境界性パーソナリティ障害6に続く。

http://tanemura2013.blogspot.jp/2015/01/blog-post_19.html

(参考『境界性パーソナリティ障害』幻冬舎新書)

<種村カウンセリングルームの連絡先>

090-8051-8198



住所:千葉県我孫子市白山1-7-7 白山シャトー202

コメント

  1. ほんの少し安心出来ました
    また妻を安心させてあげられるのも自分だけだと今気付きました

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    1. たいへんな経験をされていることと思います。おれないで、粘り強く愛を注ぎ続けてあげてください。そしてあなたがおれないためにも、誰か理解してもらえて、相談できて支えてくれる人を持ってください。

      削除

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境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

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そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
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