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人格障害⑦・・・人格障害の種類



10の人格障害を概観する

  対人関係で悩んでいるクライエントに、相手の方を人格障害のチェックシートでチェックしてもらうと、いくつかの人格障害が浮かび上がってくることが少なくありません。人格障害についての知識をもつことは、相手を理解し対人関係を改善するうえで鍵になることがあります。

  主な10の人格障害は大きく3つのグループに別れます。それぞれの人格障害の特徴を概観することで、問題を抱えた相手がいずれかの人格障害を持っている可能性をチェックしてください。
 

1.Aグループ・・・風変わりなタイプ

  これは非現実的な考えにとらわれやすいことを特徴としています。統合失調症に似た特性を持ちますが、必ずしも重症ではなく、本人に適した環境ではよく適応しています。ただし基本的な安心感に乏しく、自我が侵入されやすいために、合わない環境で適応できなくなると、精神病の状態に移行することがあります。

  このグループには、次の3つの人格障害が含まれます。

・妄想性人格障害・・・十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を加える、またはだますという疑いをもちます。

・失調症人格障害・・・頭の中で生きている人々で、奇妙でユニークな思考や直感が常に生活や行動に影響をおよばしています。周囲と摩擦を起こし、変人扱いされることが多い。

・統合失調人格障害・・・家族の一員であることを含めて、親密な関係を持ちたいと思わない、またはそれを楽しく感じない。ほとんどいつも孤立した行動を選択します。

 
2.Bグループ・・・劇的(ドラマチック)なタイプ

  劇的な変動の激しさや自己アピールが特徴で、周囲を振り回したり、巻き込みやすいタイプです。人目を惹きつける華やかさや、衝動性を特徴とし、自己顕示性対人操作性が強く、気分の変動を伴いやすいグループです。

  養育者の愛情や保護の不足によって、自己愛が傷つき、人への基本的な信頼感が損なわれているために、変動の多い人間関係を持ちやすくなります。

  このグループには、次の4つの人格障害が入ります。

・自己愛性人格障害・・・自分は特別な存在だと思っており、それにふさわしい華やかな成功を、いつも夢見ています。特別な存在である自分に、他人は便宜を図ったり、賞賛し、特別視するのが当然と考えます。一言でいうと「賞賛だけが欲しい人びと」です。

境界性人格障害・・・現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力を払います。理想化とこき下ろしの両極端を揺れ動く不安定で激しい対人関係が特徴です。自殺企図が頻繁に見られます。一言でいうと「愛を貪る人々」です。

演技性人格障害・・・他人を魅了しなければ、自分は無価値になるという強い思い込みを持っています。自分の嘘に酔い、自らも半ば信じ込んでしまうという特徴があります。他人との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または、挑発的な行動によって特徴づけられます。

・反社会性人格障害・・・他者に対して冷酷に搾取します。他人への共感性がなく、平気で他人を害したり、貪りことができます。良心の呵責が見られません。DVの加害者にも数多くいます。
 

3.Cグループ・・・不安の強いタイプ

  自己主張は控えめで不安が強く、自己本位というより他者本位なタイプです。障害レベルとしては最も軽いもので、神経症のレベルに近いと考えられます。

  他者本位的な傾向が強く、自分の本心をないがしろにしやすいのが特徴です。

  養育者による過保護や過度な支配、否定的な態度などによって、本人の主体性や自尊心が十分に育まれなかったことや、いじめ、失敗して恥をかく体験、不安を感じやすい遺伝的な要因などが原因で生じると言われています。

  次の3つの人格障害が含まれます。

・回避性人格障害・・・失敗や傷つくことを極度に恐れています。自分に自信がなく、失敗を恐れるあまり、試み自体を避ける傾向があります。

・依存性人格障害・・・自分の主体性を放棄し、他者に委ねてしまっています。自分で決めることが苦手で、些細な決定でも誰かに頼ろうとします。

・強迫性人格障害・・・間違いを犯すことは悪であるという強い信念があり、自分を抑え、自分に厳しすぎます。そのためにうつ病や心身症になりやすいのです。自分の流儀や仕事に細かすぎるほどこだわり、その基準を周囲の人にも押し付けるため、周囲が窮屈さを感じがちです。

関連記事
http://tanemura2013.blogspot.jp/2014/11/blog-post_11.html
 
(参考図書:岡田尊司著『人格障害の時代』平凡社新書)

 




 


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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

①感情がコントロールできない

境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
境界性パーソナリティ障害の人の怒りは激しく、予測不可能で、筋道を立てて話をしても抑えることができません。大雨の後の鉄砲水や地震や、晴れた日の雷のようなものです。現れるのと同じように、消えるのも突然です。

もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

②怒りの奥にある生き残り戦略…

境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

境界性パーソナリティ障害を持つ人は感情がとても不安定です。

たとえば、片時も離れたくないほどの恋人だったはずなのに、突然鬼のような怖い顔になり怒りまくる。たんなるお友達のはずなのに、夜中まで突き合せておきながら、翌日はがらっと態度が変わり激しく罵倒する、などなど・・・。

こうした極端に不安定な気持ちや言動の元にあるのは「相手に見捨てられるかもしれない」という不安です。しかも、その「不安」は、本人が思いこんでいるだけで、相手にしてみれば全く心当たりがない場合がほとんどです。そのため何を怒っているのか、見当がつきません。

境界性パーソナリティ障害の人は、大変深刻な「見捨てられ不安」をもっているのです。そのために、ささいな…

境界性パーソナリティ障害5…特徴(2)対人関係の不安定さ

①理想化とこき下ろし

境界性パーソナリティ障害の二番目の特徴は、人間関係が不安定で変動が激しいことです。
「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

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そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


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