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人格障害⑥・・・その原因(続)


1.母子関係のひずみの現れ方


 
 2歳ごろまでに愛着形成ができなかった人は、母を拒否する子供」「子を愛せない母(親になった時に子を愛せない)」になりやすいことが知られています。


この時期には「乳児の欲求を以心伝心で適切に満たす、乳児と一体化した母親の愛情と保護」が必要です。この時期に必要な共感と抱っこが十分にされないと、自我の発達が損なわれます。愛し愛されたいという素直な「本当の自己」とは別に、仮面をかぶった「偽りの自己」ができて、両者が分裂を起こします。


そして、母親からの十分な愛情とケアが与えられない心の基盤が十分に育たないので、自我の力が弱く、問題に向かい合い、自分自身で葛藤することができず、親への依存的な関係に陥っていきます自我の脆弱さと、人とのつながりの困難さがそこから生まれます。

 

 3歳前後の母子分離の時期は、自立への第一歩として非常に重要な時期です。


この時期には2つの大きな課題があります。


.健全な母親像を自分の心に取り込んで、自立するための心の基盤をつくることです。それにより心の安定感の基礎ができあがり、自立への心理的な基盤ができます。


.母親の全体像との関係を正常に築けることです。乳児は母親の全体像が理解できません。自分の欲求を満たしてくれる母親は「よい母親」であり、欲求を満たしてくれない母親は「悪い母親」であり、両者を別物のように理解していますつまり二つの母親像が分裂しているのです

 
 それが成長してくると、別々の母親がいるのではなく、一人の母親が自分とさまざまな関係を持っているということが理解できるようになります。

 
 ところが比較的重い人格障害では、この認識が十分にできなくなります。そして、相手が自分の思い通りになれば「良い人」であり、「味方」であるが、思い通りにならなければ、「悪い人」や「」に容易に変わってしまうのです。

 つまり「すべて良い」か「すべて悪い」、「全か無か(オール・オア・ナッシング)」の二分法的な両極端な思考や感情を示すようになります。こうなると、「すべて良い」はずの人が、何かをきっかけに「すべて悪い」人にされてしまうことがあり、相手の方は信頼を裏切られたと感じ深く傷ついてしまいます。

 
 特に、こういう幼い心理状態に退行している状態では、悪いことはすべて相手に投影(自分の中にあるものを相手が持っているとみなすこと)します。これが人格障害の人が示す、「傷つきやすさ」や有害な「攻撃性」のもとにあるものです。

 
よい面も悪い面も全体として持っている人間という理解ができず、全体としてのその人とのつながりをもてないので、急に深い関係を持ったかと思うと、突然その関係を遮断します。離婚再婚を繰り返す人には、こうした人格障害を抱えた人がいます。

 
2.自己愛の病理

 
 「自己愛」とは「自分を大切にする能力」です。自己愛が健全に育つためには、親によって自己愛の欲求が適度に満たされながら、同時に、親の支配や助力を徐々に脱していくように導かれる必要があります。その過程が、あまりにも急速すぎたり、逆に親が支配を続けたりすると、自己愛の傷つきが生じるのです。

 乳児は、母子一体の感覚を持ち、未分化な自己愛を持っています。それが3歳前後の母子分離が進む時期になると、未分化な自己愛は「誇大自己」と「親の理想のイメージ」へと発達をします。これはさらに高度な自己愛である、「自尊心」や「理想」に発展していく中間の産物です。

誇大自己」というのは、万能感にあふれ、何でも思い通りになると思い、たえず母親からの称賛と見守りを求める存在です。非常に強い自己顕示承認欲求を持っています。これが適正に満たされると「自尊心」が発達しますが、これが満たされないと、病的な賞賛への渇望感を引きずったり、強い劣等感を抱えこんだりします。

親の理想のイメージ」は、神のように強く、優しく、何でも満たしてくれる理想的な存在である親のイメージです。通常は大きくなるにつれて、親の欠点も分かるようになり、ありのままの人間として受け入れていきます。すると親に褒められることがそれほど重要ではなくなります。

しかし、幼少期に現実の親が理想から離れた行為(虐待など)をすると、過度の理想化した親のイメージへの欲求が個人的潜在意識に潜み続けます。その結果、満たされなかった親の理想のイメージを誰かに投影し、誰かを理想化して崇拝したり依存することもあれば、自分のあるべき理想像を持てない苦しみから、アイデンティティの確立に苦労したりします。

 
こうして「自己愛」が健全な発達ができないと、幼い「誇大自己」が未発達のまま個人的潜在意識に残り、「自己愛の障害」(人格障害)をもたらします。この幼い誇大自己は、自己反省が苦手で、思い通りにならないことに対しては、全能感を傷つけられたと感じ、「自己愛的な怒り」で反応します。要するにキレるのです。

 
(参考図書:岡田尊司著『パーソナリティ障害』PHP新書)
人格障害⑦人格障害の種類
http://tanemura2013.blogspot.jp/2014/07/blog-post_3.html
<連絡先>
種村トランスパーソナル研究所
所長・種村修
℡:090-8051-8198
 

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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

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・少し言い過ぎた言葉、その一言でむきになり、家を飛び出してしまう。時には自殺企図へと走ったりする。
・一言注意されると、もう怒りが爆発して、手が付けられないほど暴れまる。
・冗談で言った言葉にすら、深く傷つき思いつめてふさぎ込む。
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子どもやパートナーがこうした反応を繰り返すと、家族はしだいに腫れ物に触るように、顔色を常に窺いながら、機嫌を損ねるのを恐れながら暮らすようになっていきがちです。薄氷を踏むような危うさ――。家族は言いたいことを言えず、常に自分を抑えて暮らします。
こうして家族はその人に支配されているような状態に陥り、息苦しさを感じます。もちろん、ご本人にはそうした意図はありません。ご本人はどうしようもない感情・気分のブレに苦しんでいるのですが、結果的には周囲を支配しているのと変わらない状況が生まれがちです。

境界性パーソナリティ障害は、感情や気分、行動の変化があまりにも激しいという特徴があります。しかも変動の幅が大きすぎ、まったく正反対の方向へぶれたりします。
飛行機の操縦かんを動かし過ぎると、機体は激しく振動し、上下にもブレを繰り返すといいますが、同じことが心の操縦かんで起きているのです。
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「不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難」・・・(例)しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す。