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自分がかわいそうという心(1)


1.DV被害の心の傷


 私の元へ、さまざまな方からのご相談をいただきますが、最近増えてきたのがDV(ドメステック・バイオレンス)を受けてきた方からのご相談です。DVは近親者からの言葉や肉体を使っての暴力、虐待ですが、その中には性的虐待も含まれます。
 
 なんらかのDVを受けてきた人は、やはり女性に多いのですが、この人々は心の奥にいつも愛されない自分を抱えて傷ついています。近親者から愛されないので、自分に自信が持てないし、自分を罪悪視している人も少なくありません。さらに、愛を求めるときに、過剰に求めすぎて人間関係を損ないがちですし、本当に信頼できるかどうかという不安を抱えているので、不安な兆候を感じるとさっとひいてしまいがちです。自分を害されないかどうかに非常に敏感なのです。そうしたことが積み重なって、孤独に陥りやすいのです

 ある女性は、「猫が自分の毛をなめているみたいに、私も自分の傷をなめてあげているのが好き。誰もそうしてくれないから。私寂しいんだ。孤独をすごく感じる。一人ぼっち。だから私は自分で自分をなめているの。猫みたいでしょ。」と言われました。とても切ない告白でした。

 「誰にも愛されない自分」という心の傷を抱えた方はどうすればいいのでしょうか。この問題を考えてみたいと思います。

 2.愛されない苦しみ

愛されないという経験は非常にその人を傷つける経験です。子どもであれば母親に愛されたくて、また父親に愛されようとして、本当に努力するのです。生き延びるすべが他にないということも事実ですが、それ以前に子供は親の愛を求め、親の愛を得て心も体も育つのです。スキンシップがなくて育児放棄された幼児は、肉体や知能も成長が遅れます。免疫力も低下して病気にかかりやすくなります。生きる力が弱るのです。

DV、虐待というのは、親などの近親者から「自分を拒否された経験」です。しかも、「拒否されるのは自分が悪い子供だからだ」という罪悪感を子供の心に育ててしまいます。

 親によっては、女の子ができたことを喜ばない人もいます。その場合は、女性であることを否定して生きるので、男性的な性格になったり男性的に振る舞ったりするようになります。この場合、女性である自分を愛せないのは、女性としての自分を親に喜んでもらえなかったことに原因があるのです。これも自己否定の一種です。

 つまり、DVを受け、必要な愛を与えられずに育った方、自分を否定され続けて育った方は、「愛されない自分」「愛されるに値しない自分」「罪深き自分」という「かわいそうな自分」を心に抱えたまま大きくなっているのです。

 しかし、「かわいそうな自分」に自分で愛を与えようとする習慣がつくと、これが自己憐憫です。心に常に「かわいそうな自分」「愛されない自分」がいるので、引き寄せの法則が働いて、愛されない環境や自分を裏切り傷つける人に惹かれてしまう傾向が出てきます。これは潜在意識が磁石に惹きつけられていくように、そういう人を選んでしまうのです。その結果、やはり愛されないことを経験して、自分で自分をかわいそうになって慰めるという悪循環に陥ります。

3.記憶の浄化と洞察

 こういう経験を繰り返した場合には、本気で自分を変えようと決意して取り組む必要があります。三つの観点からアドバイスさせていただきます。

 先ず第一に、こういう経験をして育ったら、自己否定や自信の欠如、罪悪感、孤独になるのは、人間として普通の反応であることを知ることが必要です。自分が特別悪い人間だから、神様が罰としてこういう人生を与えたと考えないでください。最も愛する人から拒絶される経験を何度も繰り返したら、そういう心の状態になるのは当たり前です。多くの人が同じような経験をして同じような心の傷を抱えていることを知ることが大切です。自分だけじゃないんだという発見が、その人をまず救います。

第二に、心の傷は抱えたままでは、そこが化膿してきます。心の傷として残っている以上は、普段は意識していなくても、時には全く忘れていても、よく似た状況が出てくると、突然不安になり愛を拒絶したり、愛されないように自分を仕向ける言動をしてしまうのです。

これは母親が育児中に産後うつのせいで不安定でうつろで暗かった場合も、生じます。そういう状態の母親に育てられたという記憶は、通常はありません。にもかかわらず、子供を出産して子育てをする時期になると、その頃の暗い感情が個人的潜在意識からよみがえってきて、子供を見るとイライラしたり、憂鬱になるのです。その結果、幼児虐待をしたり、子供が好きになれない苦しみを味わいます。これを世代間伝達と言います。こういうケースもあるのです。

こうしたものは、まずそういう心のからくりを知る必要があります。その上で、個人的潜在意識に蓄積された記憶を思い出して、それを浄化する必要があります。自分の中にいる傷ついた子供を癒すのです。

 記憶を浄化する方法は、まず吐き出しです。幼少期の頃からの記憶を思い出しながら、自分が傷ついたり苦しんだ感情をよみがえらせます。それを、親身になって聴いてくれる人に吐き出すのです。吐き出せば負のエネルギーは減少していきます。自分自身が行う場合は、書き出すことが有効です。詳細な回想録を書けばさらにいいでしょう。

 そして、吐き出した後は、そういうことをせざるを得なかった親の心裡や立場を、カウンセラー役をしてくれる人と一緒に洞察します。これはとてもつらい作業なので、やはり決して裁かずに無条件に受容して、共感的に理解をしてくれる専門家が必要です。そういう人に吐き出しながら、洞察を深めていくことで、次第に心の傷がいやされていきます。その時に、封印されていた負の強烈な感情が噴出しますので、それを受け止めてもらう必要があるのです。これが専門のカウンセラーに聴いてもらう必要がある大きな理由です。(種)次回へ続く)
 
<連絡先>
種村トランスパーソナル研究所
所長兼心理カウンセラー 種村修
電話090-8051-8198
メールアドレス:tanemura1956@gmail.com
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境界性パーソナリティ障害1…愛情飢餓の苦しみを抱えて

1.決して珍しくない症状



境界性パーソナリティ障害は、最近増えつつあるのですが、対人関係が難しいという特徴があるので、大変厄介です。 リストカットを繰り返したり、自殺の企てを何度もしたり、摂食障害で拒食症や過食症に悩んだり、家庭内での親への暴力、援助交際などの性的逸脱などなど、こうした激しい行動の背景には、往々にして境界性パーソナリティ障害が潜んでいます。これに薬物への依存が加わることもあります。
そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


特に境界性パーソナリティ障害への対応で難しいのは、通常の場合、その人を熱心に支えようとすればするほど、症状が悪化していくことです。親身に支えてくれる人に対して、どんどん要求をエスカレートさせたり、攻撃的で衝動的になったり、自殺の企てを繰り返すことも少なくありません。そのために親身になって支援しようとした人自身が傷つくことも多いのです。
アメリカではこの障害を持つ人は全人口の2パーセントもあり、さらに精神科外来患者の11%、入院患者では19%が境界性パーソナリティ障害の要素を持っていると言います。日本もそれに近づいてきているといわれています。



青年期に発症することが多いので、若い人の間では境界性パーソナリティ障害を持つ人は、大幅に割合が増えることになります。なかでも女性に多くみられ、80%をしめます。男性も20%を占めていて、性差がなくなっている現在では、男性が発症するケースも増える傾向があるようです。

2.見捨てられ不安と愛情飢餓

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境界性パーソナリティ障害7…特徴(4)怒りのブレーキが効かない

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境界性パーソナリティ障害の人も私たちも、もっている感情に違いはありません。ただ違うのは、私たちより「物事を強烈に感じ、より激しい形で反応し、自分自身の感情や行動をうまくコントロールできない」ということです。
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もう聞いているしかないほど怒りの激流となるので、相手をする人は疲れ果てて行きます。仕方がないから感情をなだめるために、境界性パーソナリティ障害の人の言うままになってコントロールされている家族があります。これは非常に多くあるケースです。この場合、家族の心の中には、出すことのできない怒りが蓄積されていくので、家庭の中の空気が非常に冷たくとげとげしいものとなりがちです。 もっとも、境界性パーソナリティ障害の人の中には、自分の怒りを全く表現することができないという正反対の問題を抱えている人もいます。怒りがないのではなく、「少しでも怒りを表したらコントロールを失ってしまうとか、わずかな怒りでもそれを向けた相手が仕返しをするのではないかという恐怖心を抱いている」からです。怒りのブレーキが壊れているという感覚では共通しています。

通常このタイプの人は、怒りだけでなく、あらゆる感情が激しくて、それを抑えるブレーキが壊れているように感じています。それは彼らが痛みに対して、非常に過敏な心を持っているからです。ある専門家はこれを、全身の9割に重度の熱傷(やけど)を受けているような状態だといいます。「感情という皮膚がなく、わずかに触れたり、動いたりするだけでも、彼らは苦痛に悶えるのです」。ですから制御できなくて激しい反応が起きてしまうのです。
この敏感さは、境界性パーソナリティ障害の人が、潜在意識と同通しやすいこととも密接にかかわっています。鈍感な人であれば感じないので平気なことでも、潜在意識と同通して敏感な人にとっては、拷問なような苦しみを感じることがあるのです。心がむき出しになっていて、小さな刺激にも過敏に反応するのです。このタイプの人が、激しい猫舌であることも、しばしば見かけます。感覚も過敏であることが少なくないように思います。

②怒りの奥にある生き残り戦略…

境界性パーソナリティ障害5…特徴(2)対人関係の不安定さ

①理想化とこき下ろし

境界性パーソナリティ障害の二番目の特徴は、人間関係が不安定で変動が激しいことです。
「理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係」というパターンがあるのです。


理想化」というのは、「最高だ!」「こんな人に出遭えたのは初めて!」と感じて、相手を理想の人だと思いこむことです。


境界性パーソナリティ障害を持つ人は、自分を支えてくれ、愛情飢餓を癒してくれる人を常に求めています。ですから、これはという人物に巡りあえると、急速に相手に対する期待が高まります。そして「この人こそ、自分が求めていた人だ!」その思いが膨らむと、極度に理想化したり、万能な存在であるように思いこみやすいのです。

このタイプの人は、心の深いところで母親や父親の代理を相手に求めています。ですからその欲求を満たしてくれる人に出会うと、どんどん依存を深めていきます。

さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


もし恋人関係になったとしても、この関係は長続きしません。どこかで相手が支えきれなくなるからです。相手がその人のもつ過大な期待にしり込みしたり、あるいはもう飽き飽きしたという態度を取ると、境界性パーソナリティ障害の人は「見捨てられるのではないかという不安」に捉われます。
そこで必死にしがみつこうとしたり、相手の気を引く行動をとります。

それでもさらに相手が引くそぶりを見せると、激しい失望を感じて、「裏切られた!」と怒りを感じます。そうすると、今度は相手が攻撃の対象になりかねません。


些細なきっかけで、その人の何らかの要求が満たされないと、評価が180度逆転して、罵詈雑言を浴びせることもありがちです。そして「最低!」「信じて損した」「私の時間を返してよ」という具合に、激しい言葉を浴びせるのです。言葉だけでなく、行為で迷惑をかけることもあり、相手は翻弄されていくことになります。
②アンビバレント(両価的)な感情
このタイプの人を理解する鍵は、「アンビバレント(両価的)」な感情にあります。