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心の傷を癒す絵画療法




1.私の体験



 私は、5年前から描画に取り組み始めました。きっかけは、絵画療法の研究でした。

 絵画療法の方法はいたって簡単です。リラックスした状態で心にイメージを思い浮かべて、それをクレヨンで表現する。たったそれだけです。この簡単な方法の威力を、私は自分の過去の回想に取り組んだ時に実感しました。

 私は幼少期から数年後ごとに区切って、その年代の心の印象を描いていきました。誕生の時、私の色は黄色とピンクです。両親の喜びに包まれていたイメージが黄色で、やさしさと安心した甘えがピンクでイメージできました。イメージを描き、色を塗っていると、祝福されて生まれてきた喜びが胸に湧き起ってきました。

  私の大学時代は、左翼の学生運動と衝突して、苦難と失意の時代でした。怒りが赤で、失意は灰色と黒でイメージされました。当時の封印してあった苦悩が、描画にイメージと色として出てきます。私はそれまで、この時代の回想・反省を意識的に避けてきました。なかなか向き合う用意ができていなかったのです。本格的に向き合ったのは、中年に入ってからです。


 私はイメージ画を描くことで、なにか得体のしれなかった悩みと苦しみの塊のようなものが、吐き出せました。すると、なぜか癒されるのです。そして軽くなったのです。どろどろした苦悩の感情が自分と切り離されて吐き出され、残りが単なる過去の記憶として、心の収納ケースに収まるような感じでした。


 それまでは苦しい記憶の固まり、感情の固まりが、潜在意識の世界にネガティブなエネルギーとして潜んでいて、何かがあると首をもたげて意識に忍び込んできては、暗闇に引きずりこもうとしていたのです。それが、そのネガティブなエネルギーを外に取り出したようになり、すっきりする経験を味わいました。


 余談ですが、多くのクライエントにお会いする中で、私のこうした幼少期の経験は、得難いものであり、それとは対照的に黒や灰色の体験をされてきた方が数多くいらっしゃることを知りました。そういう方は自分の置かれた立場で苦難を克服し、他者の悲しみや苦しみに共感できる心を育ててきています。幼少期に幸せな経験があることは、それに越したことはないと思います。しかし、幼少期がいばらの道を歩んできた方は、その経験を通さなければ得られないであろう人格の徳を養っているので、どちらがいいとか悪いということは、決して一概には言えないと思います。



2.記憶の洗浄


 私が経験した絵画療法は、心の洗浄法の一種でした。抑圧を解消するための技法なのです。

 通常、強烈な感情を伴うネガティブな記憶は、危険なので潜在意識に抑圧し、封印したりして、思い出せないようにしています。でも抑圧されたエネルギーは、潜在意識下で生きており、働いています。


 それを解消するには、抑圧しているものを意識して取り出し、吐き出すのです。その時に、嫌な思い出や感情と向き合うことになります。目をそらさないで、それも自分だったということを受け入れなければなりません。そうして、吐き出すとようやくネガティブなエネルギーが消えていきます。


 通常は自分一人では難しいことが多いので、受容と共感理解で安心の空間をつくって受け止めてくれる人に見守られながら行います。


 リラックスした状態が深くなればなるほど、潜在意識の深いところからイメージが湧いてきます。静かな状態で、ゆっくり深呼吸を繰り返していけば、リラックスしていけます。そして自分が取り出してみたい過去に意識を向けて、その時にわいてくるイメージをクレヨンで描くのです。たったそれだけで、心が軽くなっていきます。何度も続けていくと、癒されていく感覚が味わえるようになります。

 また描いたものを洞察していゆくと、自分の心や抑圧が見えてきたりしま。洞察が生まれることで、癒しがさらに進みます。


3.絵画療法の授業


 カウンセリング講座やカウンセリングでは、必要に応じて心のイメージをクレヨンで描いていただくことがあります。あまりにもつらい経験の場合、画用紙を黒や赤を塗りつぶす人もいます。黒は絶望、失意、恐怖であることが多く、赤は激しい怒りであることが多いようです。


 心の奥から湧き上がってきて仕方がない不安を、絵に描いてくださった方がいました。人々から逃げて、洞窟のようななかでうずくまって震えている絵でした。やがてそこに一筋の光が降りてきました。その光は、自分の潜在意識の奥底から来る光だったようです。「大丈夫ですよ。あなたは守られています」という思いがその光から響いてきたそうです。


 描いたものは心のイメージなので、そこに静かに意識を向けてみると、イメージの源にある想いを感じ取ることがあるのです。すると、それまでしばしば潜在意識から湧き上がってきていたものの正体がわかります。時には、それは過去世の記憶だと解釈するしかない場合もあります。いずれにせよ過去に受けた心の傷は、表現することで癒されていきます。


 喪失の苦しみは、そのままにしておけば長く引きずります。記憶の底に沈めたつもりでも、ときどき封印のふたが開いて、亡霊のように苦しみの記憶が立ち上ります。それはイメージとして吐き出すことで、無害なものに変わっていきます。思い出しても自分を苦しめないものへと変えることが可能です。


 
<連絡先>
種村トランスパーソナル研究所
所長兼心理カウンセラー 種村修
電話090-8051-8198
メールアドレス:tanemura1956@gmail.com


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そのために境界性パーソナリティ障害では、本人の苦しみが激しいだけでなく、家族やその周囲の人が振り回されてへとへとになっていくことが少なくありません。


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さらに境界性パーソナリティ障害をもつこのタイプの人は往々にして恋愛感情に入っていきやすいので、理想の相手に見えて恋心に火がつくことも少なくありません。しかし、これはこの人の中にある理想の父親もしくは母親の投影として、理想の恋人に見えているのであって、本当の恋心とはいえません。


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